至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第22回
雷の魚、神様の魚、ハタハタ

ハタハタと言う魚を知っていますか?
鰰。魚偏に神と書く魚ですが、
「雷魚」ともいいます。
11月の終わりから12月、
冬の雷が鳴る時期に産卵のため
岸に近づいたところを獲ることから
雷神が連れてきた魚という意味だそうで
その時期、
秋田の市場はハタハタでいっぱいになります。

子どもの頃は、朝からハタハタの焼き魚が出るほど
とてもポピュラーで
正直言って「う、またか」
なんて思うような存在の魚でしたが
乱獲のため10年ほど前にはついに禁漁となり
値が高騰して、すっかり
「高級魚」や「幻の魚」という冠がつきました。

けれど秋田の漁師達の努力と
禁漁が功を奏したか、最近では豊漁が続き
昔のような、大きくて
ぶりこ(卵)のみっちり詰まったハタハタが
八森や男鹿の海に
だんだん戻ってきたようです。

うろこがなく、身が少なく、
独特のつるっとした食感。
バリバリッという
あごが疲れるほど強い歯ごたえのぶりこ。
食べ慣れない人は戸惑ってしまうようですが
このおいしさは、
一度食べるとちょっとクセになります。

ハタハタの鍋といえば、しょっつる鍋。
これを貝にのせて焼けば、しょっつるかやき(貝焼き)。
しょっつる(塩汁または塩魚汁)というのは
ナンプラーなどと同じ
魚醤のことですが
本来はハタハタを塩漬けにして作ります。
ただ、ハタハタが貴重になった今では
いわしなどで作ったしょっつるも多いとか。

発酵した魚特有の臭みが
秋田の子ども達には
はっきり言ってブーイングものなんですけれど
酒飲みの大人達にはこれがたまらない。

私はといえば、今ではすっかり
その気持ちがわかるようになった
立派な大人のひとりです。


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