第150回
資産運用は知的な労働
本格的な株価上昇ともなると
威勢のいい話がどんどん出てきて
みんなが株価について行けばますます活況になります。
そのうちに笛を吹いて歩く積極的な預言者も現われ
行進に加わる人は増えていきます。
そして、何事にでも最後があるように
突然に株価が下がりだし、
最初とは段違いの大行列を率いて
みんなで奈落の谷へ落ちていきます。
人間は理性的な生き物です。
歴史に学べば米国の投資家のジェシー・リバモアが
どんな悲惨な最後を遂げたのか、
1980年代の進め進めの「進軍ラッパ本」を信じた人が
どういう結果になったのか
本気で調べればそれを知ることはたやすいことです。
われわれはロッククライマーのような
冒険家である必要はありません。
われわれがどのような意思決定をしようと
それは勿論自由なのですが
「物事が正しいか」を判断する
自分の考え方の軸を持たないと情報に振り回されてしまいます。
「情報」と「考え方」はどちらも重要です。
地理的に広い視野、歴史を見るような長い時間軸で
資産運用を考えることができれば
もっとうまく行動できるようになれるのではないでしょうか。
投資の意思決定は簡単な行為のように見えますが、
調査や予測が必要であり、それは限りのない仕事です。
私は投資による資産運用には
特別な能力はいらないとは思いますが、
意思決定を要する知的な労働と思います。
知的な労働ということは
学習によって効率向上が見込めるということです。
適切に運用できればインフレーションなどで
購買力をなくすどころか
大きく増やすことまで可能ではないかと思います。
簡単に購買力を維持・増加させる方法はなかなかなさそうです。
いろいろな情報が交錯する現代では、
生活すること自体がハイリスクであることを承知して
自分の知力にかけるしかないかと思います。
どの国に、これから追い風が吹くかとか
伸びる産業や企業を見分けることは難しくても
発展するための資金を必要とする国や企業が
今アジアにあるのは事実なのです。
※「アジア株の出番です」は
150回を迎えた今回にて終了いたします。
海外を移動しながら、また調べながら書きましたので
テーマが脈絡もなく飛ぶことも多く、
お読みになりにくかったと存じますが
手探りの活動ゆえのこととご容赦願います。
アジアは広く、
調べなければならないことはまだまだ多くあります。
水先案内人を目指して活動しても、
非力ゆえに「そこに海がある」という程度にしか
ご紹介できなかったのではという無念さも残ります。
次回、お話をさせていただける機会のために
さらに多くの国を回って情報を集めて行きたいと思います。
ご愛読ありがとうございました。
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