第122回
フィリピンの強みと弱み
この国では少数のスペイン系の人が土地を所有しています。
自分の土地ではないところで農業をする人が多く、
ミリエンダと呼ぶおやつの時間をゆっくり取る人が多くいます。
(午前、午後、場合によっては夜食)
スペイン系の地主と華人が政治・経済の主導権を握る中で
この国は他国と比べると
やや緩慢な時間が流れているように見えます。
首都圏では頻繁に交通渋滞があります。
水、電話など社会基盤の整備は優れているとは言えません。
国家統計局(NSO)による2002年度貧困指標調査(APIS)
では、全国で337万3,000世帯に電気が届いていません。
また、電気料金は日本に次いで高いくらいです。
残念ながら治安もとても良いとは言えません。
良いところは、
人とコミュニケーションが取りやすいことでしょうか。
また、インフラや治安の問題が解決すれば観光や外資の進出が
考えられることです。
マニラで出会った人に
「全ての国民が英語を読み書きできるのですか?」
と聞いたときに「勿論」と言われましたが、
どうもこれは事実ではなさそうです。
最近は、英語力に陰りも出てきて
今後5~10年でフィリピンの英語能力の有位性は完全に
失われるだろうという厳しい予測もあります。
ITサービス事業では
インドのIT技術者の賃金が高騰したため、
フィリピンの価格競争力が増しているようです。
が、デザインなどでは優れたものもありますが
労働者の基礎的な学力については疑問の声もあります。
小・中学校では給料が安いため能力のある理数系教師が少なく
また、英語の教科書を使って授業が行われるため、
ついていけない生徒がでているようです。
今のところ、あまり良い話ができませんが、
問題が多い国こそ調査の甲斐があるようにも思います。
「どこの国に投資すればいいのでしょうか?」と質問するよりも、
「投資してはいけない国は?」
と尋ねるほうが
長期のパフォーマンスは高いこともあるのではないでしょうか。
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