第98回
夢に値段がつく不思議
毎日株価が上がっているようなときは、
地味な企業よりもこれからどんどん利益が増えそうに見える
企業のほうが株価の上昇は早いようです。
少しずつ利益が増えるような堅実な企業の株価収益率(PER)が、
何十倍にもなってしまえば
高値の理由を探すのには苦労がいります。
一方、
業績がもともと赤字というような企業の場合は
株価収益率(PER)は計算できません。
「いよいよ黒字転換、成長産業間違いなし」
と噂になればみんなが期待するようです。
株価が毎日上がっていると強気になるのが人情です。
「買いたい人」に高値で売リ抜けることができれば儲かります。
今日株価が上げていれば、
明日はもっと高く売れるだろうと考えます。
こんな楽にできるお金儲けはそうそうありません。
ですが、そうそうしているうちに
「長く持つ為に買った成長企業への投資」と
「高値で人に売り抜ける投資」が混ざって来て、
売り抜ける投資のほうがよく儲かるようになって
ある時突然に、買い手がいなくなって損を出します。
「ニュートン」は南海泡沫事件と呼ばれるバブルの時に、
株価があまりに高くなったので株式を一度売り、
それでも株価が上がるので
自分の計算が間違っていたのかと、
再度買いなおしたら株価がずどーんと下げて
損を出したという話があります。
「計算はできても、人のこころは読めない」とのことです。
バブルは「より高値で買う人がいる」ことを前提にしています。
ですから、売る気がない、配当を貰うだけで充分報われると
考えている投資家にはちょっと困った現象でもあります。
過去にオランダでは
変わった花が咲くチューリップの球根にとんでもない値段がつく
チューリップバブルと呼ばれる現象がありました。
もし将来もその企業から球根しか取れる見込みがなかったり、
財産が何もないのに高値のついている企業があれば
「より高値で買う人がいる」という前提だけの
球根か浮き草のようなものではないかと疑う必要があります。
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