第79回
華人のつながり
「海南チキンライス」を食べたことはありますか?
機会があれば是非食べてください。とてもおいしいです。
タイでは「カオ・マン・ガーイ」と呼ばれています。
これは、鳥のだしでご飯を炊いて蒸し鶏を上に乗せて
食べるものです。
レストランでは見かけません。
専門の屋台がありスープ付きで25バーツ(75円弱)程度。
お茶が2バーツ程度です。
この「海南チキンライス」は「福建麺」と同じく
地名から呼ばれることになった言葉です。
中国の海南省でよく食べられていたものだそうです。
海南省から来た人が屋台をやっている場合が多いのです。
今日は華人の絆についてお話しましょう。
「幇(bang)」は、海外における華人社会特有の言葉です。
出身地を基にする経済的なグループと考えてよいでしょうか。
現在では厳密に言うと、幇は
地域のみを基礎として成り立つものではないようです。
いろいろなグループがありますが
一例を挙げれば客家は
客家方言を話す地域出身の人々のことです。
孫文、リー・クアンユー、李登輝、などが知られています。
タイではカシコーンバンクのランサム家が有名です。
移民したひとびとの出身地は多くは東南部の地域です。
移民先では助け合わねばなりません。
一旗上げれば
伝手(つて)をたどって親類・縁者が来ます。
中国では出身地方が違えば言葉も違いますから
国が違うような扱いなのでしょう。
自然に出身地ごとにかたまり、
コミュニティが出来ていきました。
潮州出身の華人が経営する
バンコックバンクでは、数十年前まで
「お金を貸すときに借用証書を取らなかった」
という話を聞いたことがあります。
人と人とは紹介者によってつながる信用を重んじる華人社会
だからできたことかもしれません。
タイ・シンガポール・マレーシアではこの
幇による職業分担が見られます。
銀行は潮州・福建・広東、
飲食業界は海南・福州などです。
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