第2063回
■シロさんからのＱ（質問）：ご自身の「度胸」について

邱永漢先生、初めまして。
本日は邱先生の「度胸の強さ」について質問をさせて頂きます。
「わが青春の台湾 わが青春の香港」を
いつも楽しみに拝見しているのですが、
改めて、邱先生の度胸の強さには驚いています。

今では考えられないような危険な状況下での
台湾政府とのやり取りの数々。
その後の邱先生の実業家としての行動力もそうですが、
邱先生の「胆力」は生来のものなのでしょうか。
ご自身では「度胸」についてどうお考えか、お教え下さい。

また、勇気を出す時の心構えやコツなどもありましたら、
ぜひ教えて下さい。
宜しくお願い致します。

■ＱさんからのＡ（答え）

あなたが想像するほど私は度胸のいい人ではありません。
心配性でもあるし、細かいことにもそれなりに気をつけます。
ですから、例えば政府に反対するようなことをやったら、
捕まえられて銃殺にされるというのは当然予想に入るわけですから、
捕まらないように努力するということです。
私の知っている人の中には
自分は悪いことをしていないと思っている人もいました。
悪いことではないんですけど、政府から見れば悪い事ですから、
そういう人は不用意で、
捕まって牢屋に入ったり、銃殺されたりしてしまいました。

私が助かったのは、
政府の目から見たら悪いことをしているんだから、
捕まらないように逃げなきゃといつも思っていたからです。
露見しそうになった時に忽ち逃げ支度にかかったので、
そのおかげで今日まで生き伸びたというだけのことです。
肝っ玉が座っているというよりも、
そういうことに対する認識と予防ができているかどうか
という差じゃないかと思います。