中国株・起業・人生相談・Q&A-ハイハイQさんQさんデス-邱 永漢

第1606回
田中宏昌さんからのQ(質問):おすすめの中国思想家の本は

邱先生、いつも感謝しております。
私は読書が好きで先生の本に限らずに色々な本を読みます。
小説やエッセイも好きですし、
投資の本はもちろん四季報の類も読んでいて楽しいです。
その好きな本の一つであります、
先生の『野心家の時間割』でもでおっしゃっていらしたように
「27歳から遊びと仕事の比重がわかる」と言う言葉を、
私は身をもって実感しています。

27歳よりは少し遅れますが、
28歳になるかならないかのあたりで先生の存在を知った
世間知らずの私には、
先生の指摘される人生転換期のタイミングと同時に
『邱永漢』というとっておきの良薬を注射されたようで、
色々と発奮しております。

そんな中、以前から興味があった中国の先人の啓蒙書を読んで、
少しずつ人生の糧にしたいと思っておりますが、
一体どれから読めばよいのか迷っております。
孔子もいいだろうし、荘子も、韓非子も、
という具合に選ぶのが楽しいくらいですので
迷わず読むことも手ではありますが、
ご事情に詳しい邱先生ならではの推薦書を
一つ二つお教えいただきたく思っております。
よろしくお願いいたします。


■QさんからのA(答え)

中国の思想家については私にも著作があります。
おそらくそれをお読みになって私に聞いたんだと思いますけど、
何千年という歴史がありますから、
諸子百家からはじまって思想家も山ほどございます。
それをどこから読むかというと、
もちろん原典があるわけですから原典を読めばよろしいんですけど、
読書はおわかりのように
本そのものに書いてあることよりも、
それを理解する人間の年齢が重要です。
20才の時に読んだものと、40才になって読んだものと、
60才になって読んだものとでは
同じ本を読んでも理解できることがまるで違います。

たとえば「四十にして惑わず」と言いますが、
ある時井伏鱒二さんと話をしていて、
「四十にして惑わずといいますけど」と聞いたら、
「四十過ぎたらますます惑いがふえますね」
という答えがかえってきました。
私に言わせると「惑わず」というのは
子供の時に20才の人を見たら大人に見えるけど、
自分が20才になると自分はまだ子供で40才の人が大人に見える。
でも、40才になったら
いくつになっても人間は惑うものだということがわかるようになる。
「惑わず」と言うのはそういう意味だと
自分なりに解決するようになりました。

といった具合に年齢や環境によって受け取り方が違いますので、
必要なことは古典はくりかえして読み直す習慣を身につけることです。


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2007年1月23日(火)

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