第1281回
■海 万太郎さんからのQ(質問):これからの蕎麦屋の姿

いつも楽しく拝見させて頂いております。
有難うございます。
社会人一年生から先生の大ファンとなり
著書を買いあさり、日々読みふけっております。
実は4年前までは船乗りとして海上での生活をしておりました。
各地で食べ歩きをいたしておりました。

先生の著書の中に
「この飽食の時代にあっても蕎麦はまだまだ工夫の余地があり、
工夫次第で付加価値をつけることができる可能性を秘めている」
という内容の一文がずっと気になり、
頭を離れずとうとう船をおり、
現在蕎麦屋を営み約2年になります。
蕎麦の可能性に賭けいろんな食べ方、
組み合わせに挑戦しております。
先生の感じるこれからの蕎麦屋の姿をお聞かせください。

ちなみに当店の客単価昼1600円、夜3000円です。
よろしくお願い致します。


■QさんからのA(答え)

日本蕎麦というのは日本だけで売られているものです。
蕎麦そのものは世界中で取れますけど、
土地のやせた所でも、水がない所でも、短い期間で育ちますので、
飢饉の時に役立てている作物の一つです。

本当は貧乏人の食べるものですが、
日本ではいつの間にか金持ちじゃないと手が届かない
高い食べ物になってしまいました。
若い人がお腹いっぱいに食べると
5000円もかかっってしまうんですから。

私が蕎麦が面白いと言うのは
最後にお客さんに出す蕎麦屋の商売ではなくて、
つくるところから日本に運ぶまでのプロセスを
どうやって改良するかという所です。
最終のお蕎麦屋さんを
いままでと同じ形でやっている限りは
お客さんが来るか来ないか、
いつもハラハラして一生が終ってしまいます。
同じ商売をやるにしても、
全プロセスの中でどこを改良する必要があるか
に注意する必要があります。
例えば蕎麦なら内モンゴルのどこに行って蕎麦を植えるとか、
雲南省だったら韃靼(だったん)蕎麦を
うまくつくれないか、とか、
人のやらないことに着眼しなければ面白い商売はできません。


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