第722回
■KさんからのQ(質問):インフレ予言記事について

本しても週刊誌の見出しにも
「いよいよインフレ到来。あなたの資産は吹っ飛ぶ!
              ハイパーインフレから財産を守れ…」
などの見出しがよく目にとまります。

先生は、こうしたインフレ予言記事について、
どのような見解をお持ちなのかお教えください。


■QさんからのA(答え)

ジャーナリズムには人を驚かさないと注目してもらえないと思って、
派手なタイトルを付ける事がよくあります。
中にはそういったやり方を専門とした経済評論家もいます。
そういう人がよく経済を知っているかと言うと、
驚かすことだけが専門という人も結構おりますので、
よく確かめて下さい。

インフレが始まっているといっても、
素材の不足から起っていることで
世界中が工業生産を中心として過剰生産に陥っている時ですから、
インフレにはなりそうもありません。
いま兆しが見えるのは主として中国です。
ものすごい勢いで設備投資が進み、増産体制に入ったために
この2年間だけで1年に3000万トンずつも鉄の消費量が増えています。
その生産に間に合わない分の注文が
新日鉄に来たり、住友金属に来たりしてホクホクしている所です。
それが世界中の素材の値上がりをひき起こし、
また、それを運ぶ船が足りなくなって運賃も高くなっています。

そこの所だけを見るとインフレのように見えますが、
電気洗濯機やテレビがもっと売れるようになるかというと
みんなで競争をして潰し合いをしていますから、
原料高の製品安といった所が真相に近いでしょう。
足りない所だけ値が上がっているのですから、
それが全体に及んで経済が好景気に向かっていると
考えない方がいいと思います。


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