第83回
友人からの借金申し込みは、できるだけ断わったほうがいい
中年になって生活が安定するようになると、
お金のかかることが多くなります。
たとえば、寄付金などを集めるときなど、
「あなたに先頭に立って署名していただかないと、
あとの人が署名できない」などと言ってくる。
そのつど気前よく支払っていたのでは、
いくらお金があっても足りません。
払えない場合は、払えないという意思表示をはっきりすべきです。
この意思表示をする場合、
日本語というのは「イエス」「ノー」が
あまりはっきりしない言葉ですから、
「じゃあよく考えてみましょう」と言うと、
言った本人は断わる意味で言ったつもりが、
相手のほうは、「このつぎにくればOKの返事がもらえる」
といった意味で受けとっているケースがよくあります。
その結果、あとで話がこじれるといったことになる。
ですから「ノー」のときは「ノー」と、
はっきり言ったほうがいいと思います。
元経団連会長の稲山嘉寛さんが、日経新聞の、
「私の履歴書」の中で
「よい返事をするときは引き延ばしてもいいが、
断わるときは早く返事をすること」
と書いていたのを読んだことがあります。
よくない話だと即答しにくいため、
ついその場のがれのあいまいな返事をしてしまう。
相手のことを考えるなら、その場できっぱり
「ノー」と返事をしたほうが良いということです。
その場では相手にイヤな思いをさせるかもしれませんが、
のちのちのことを考えると、
「あのとき断わられたお陰でふんぎりがつきました」
ということにもなります。
世の中は、人間関係をスムーズにしておくことがたいせつです。
とくに借金の申し込みなど、
なかなか断わりにくいものです。
その場で断わると、
「おれたちの関係は、この程度のものだったのか」
とイヤ味のひとつも言われかねません。
でも、友だちにお金を貸したら
友情がこわれることを覚悟しておいたほうがいいんです。
友だちにお金を借りにくるような人は、
たいていお金にだらしのない人ですから、
心を鬼にして断わるべきです。
もし、事業のために使うお金を借りたいなら、
銀行へ行くのが本筋でしょう。
銀行でも借りることができないような人には
貸さないほうが、お互いのためです。
銀行は、お金を貸すプロフェッショナルです。
この人にお金を貸しても大丈夫かどうか、
ひと目で見抜いてしまいます。
友だちにお金を借りに来るような人は、
だいたい銀行に借りに行って断わられる人だから、
お金はまず返してもらえないと考えるべきです。
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