死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第53回
金銭的なお返しができなかったら、いい印象でお返しを

これは、何も相手の下心を
警戒しているからではありません。
中には、純粋な好意で
親切にしてくれる人もたくさんいます。
しかしそんな人にも、応分のお返しは必要です。

もっとも、若い人などは、
そうしたくても、先立つものが不如意で
お礼がままならないということもあるでしょう。
そんな場合は、相手にいい印象を与えるように、
あとでお礼を言えばいい。
電話とか手紙で
感謝の気持ちを伝えるようにしてもいいでしよう。

私などは人にごちそうをしても、
何か親切なことをしたという意識はありません。
会社の上役が平社員と一緒に飲んだり、
飯をごちそうした場合も同じだと思います。

しかし、挨拶とか、
お礼はきちんとすべきです。
やるべきことをちゃんとやっておかないと、
心のどこかに「借り」ができてしまいます。
ですから、私なんかは、ごちそうになりに行くときだって、
自分の食い扶持程度のお土産は持参します。
それ相応の代償を払うのが、人生だと思っているからです。





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2013年5月24日(金)

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