死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第21回
お金を貯める「不変の法則」を自分流にアレンジせよ

香港に新世界という有数の財閥があり、
そこのボスはケチなことで名を知られています。

鄭さんという人ですが、
この人がごちそうをするというと、
友人たちは、先に食事をしてから行くそうです。

香港には、「福臨門」という
世界一おいしい中華料理店があります。
おいしいだけに値段も高いのですが、
鄭さんはメニューを見ると、
いちばん高いフカのヒレやアワビは
なるべく注文しないですむように、
「フカのヒレは昨日食べたし、アワビは今日のお昼食べたし」
と言って、安いものばかり注文するのです。

香港で、一、二を争う大金持ちまでもこの調子ですから、
金持ちになるためにはやはり節約の精神が不可欠のものでしょう。

よくあの人はお金持ちだから、
あの人なら買ってくれるかもしれない、
といって売り込みに行く人がいます。

しかし、お金持ちの人は根がケチですから、
高い物は買いません。
お買い得のものなら喜んで買ってくれます。

毛皮やダイヤは買いませんが、
土地や建物を半値で売りますといったら、
その日のうちに買ってくれるでしょう。

ケチだからこそ今日があるのであって、
そういう人のところへぜいたく品を売りに行くのは
見当違いもいいところでしょう。

ですから、貧乏人の心理で、
お金持ちならお金を持っているから
気前よくお金を使うと考えると、
自分の見識のなさを笑われてしまいます。

金持ちになった人のお金の使い方を見て、
それをマネするくらいでないと、
とてもお金持ちにはなれません。





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2013年4月22日(月)

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