死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第88回
相続税対策をやるやらないの違い

思うように相続税対策ができず、
そうこうしているうちに、本人が死んでしまう。
もし会社の資本の70%が死んだ社長の持株で、
一株当たりが額面の十倍と評価されたら、
社長の七千万円の持株は七億円だし、二十倍と評価されたら十四億円になる。

社長が借金嫌いで、会社が広大な敷地を目抜き通りに持っていたりすると、
五百円の株が五万円に評価される場合もある。
額面の百倍ということになると、
途端に七十億円にはねあがってしまう。

奥さんのほうがまだ存命の場合は、
遺産の半分が無税となる。
それでも、社長の個人の住宅や家作や株や預金があれば、
それも遺産に計上されるから、
相続人一人当たりの相続額がすぐ二億円や三億円になってしまう。
そのていどの相続額なら大体、
50%ていどの相続税だが、問題は家族で所有している会社の株は、
額面の二十倍に評価されていても、誰も買ってくれないし、
仮に買ってくれる人があったとしても、
それは経営権の譲渡を意味するものであるから売るに売れないということになる。
やむを得ず、相続をしたあとは、
相続税を支払うために、たいていの家では、
会社の株を売らずに、親の遺してくれた土地とか別の株を売る。
すると、土地の場合は、親が仕入れた時の
原価まで戻って売値との差額に譲渡所得税をかけるから、
二重に税金がかかってくるし、
上場株の場合も、一定の株数をこえると、総合所得税の対象となるから、
同じように税金の追徴がある。

だから、「親に全然、そういう考え方がなかったし、
私もはじめての経験だったものですから、
親父の死んだ時は、本当にひどい目にあいました」
と述懐する二代目は多い。
そういう話をきくにつけても、
ふだんからそのことに配慮している親と
そうでない親とでは、死んだあとの「年貢の納め方」に
天と地ほどのひらきが出てくる。

財産を築いた人は、あとに遺った家族の将来を考えるなら、
相続対策をきちんとやっておかないわけにはいかない。
もちろん、世の中には「死んだあとのことは知らないよ」という人がある。
「子孫のために美田を遺さず」という人もある。
「自分の財産は自分で築けばよい」と突っ張る人もある。
それぞれに見識のある発言だと思うが、
それならば、自分が稼いだお金は自分の生きている間に
きれいさっぱり使いはたして、
「飛ぶ鳥はあとを濁さず」を身をもって実践しなければならない。

それをケチケチして名を遺さずにお金だけを遺したり、
その積りでなくとも結果として事業や財産を遺したりすると、
あとを受け継ぐ遺族が頭を痛めることになる。
そういうことになることがわかっておれば、
いっそあとに遺された人々の立場も考えて、
相続税対策を元気なうちにやっておくほうが賢明である。





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2015年6月12日(金)

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