“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第710回
三重から京都へ

今週後半から、
津市の三重大学と京都大学を訪問する出張にでかけている。
そうなると、当然美味しい料理屋巡りや蔵元巡りを
合間に埋めることに考えが及ぶ。
土曜の京都での日本機械学会の
基礎セミナーの講師を務めたあとは、
久しぶりに伊賀市の「森喜酒造場」を訪問することにして、
アポイントをとった。
蔵で知人と合流して、
「るみ子の酒」を試飲しながら旧交を温める予定。

して、その翌日は帰りがけに
愛知県津山市の小さい蔵である
「長珍酒造」を初めて訪問することにした。
となると、その間のランチは森喜酒造場の近くの
田楽屋「なかや」か、
亀山の自然食料理屋「月の庭」あたりが考えられるが、
これは森喜さんを訪問してから相談する予定。

三重大のある津に移動する途中では、
久しぶりに名古屋の八田駅近くにある「京加茂」に寄った。
ここはもともと、
このコラムを読んでいただいて親しくなった店。
日本酒選定のアドバイスをしたことがきっかけ。
カウンターに一人で座り、懐石コースをいただく。
まずは、「鮎の赤飯つめ蒸し」。
これが柔らかく蒸せていて、いい味の加減。
酢橘の酸味が利いていて、スタートにふさわしい味わいだった。
次が「鱧のにこごり寄せ」で、
鱧肉を鰹出汁のゼラチンで囲ってある。
砕いた氷に乗って三種類の風味として提供されたが、
いずれも軽やかで食欲が一気にでてくる。
そして、岩牡蠣、鱧の短冊、茄子の煮浸しなど、
これまでこちらで食べたことが無い料理が次々と提供される。
合わせた日本酒は、開運、るみ子の酒、秋鹿などなど。
最後が炊き込みご飯に赤だし。
そしてデザート。

そして、今回終わってから気がついたことは、
お造りが出なかったこと。
店主の土方さんは、
意図してお造りなしのコースを考えたという。
それで満足度がとても高かったので、
その試みは成功と言える。
とても興味深い方向性だ。


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2007年6月8日(金)

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