“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第658回
いい居酒屋とは

行きたい居酒屋の条件をあげると次の三点に集約される。

■居心地がいいこと
■日本酒銘柄選定のポリシーが明確で、
  燗にして旨い酒が充実していること
■酒肴が旨いこと

このうち、居心地のよさについては、
「伊勢藤」「江戸一」「ふくべ」「みますや」「鍵屋」
などの老舗居酒屋が格別だ。
これらの店では、歴史を感じる建て屋に同化しながら、
気分よく酔える。
文化庁には、日本の重要な文化遺産として、
老舗居酒屋を指定してほしいものだ。

さて、上記条件の三点が全てかなう居酒屋は東京でも希少だ。
私が考える東京でのベストの居酒屋は高田馬場「真菜板」。
店主の杉田さんは、少しのブレもなく、
以前は知名度がほとんどない
実力のある純米無濾過生原酒を中心に、
奥様の作る酒肴とともに愉しませてくれる。
その合わせる技はまさに円熟。
ということで、満席のことが多く、
最近ではふらっと行くと入れないこともある。

そして、昨年の4月に開店した
新進気鋭の居酒屋である錦糸町「井のなか」は、
一年のうちに随分進化してきた。
最初のうちは、店主の工藤さんの試行錯誤があって、
次々と新しいメニューの試食などもさせられてきたが、
最近になって酒肴が実に安定してきている。
先日訪問したときに、お任せで酒肴をお願いしたところ、
下記の順で愉しめた。

・鯛の塩辛
・蛤のチーズ焼き、ツブ貝、蛍烏賊の粕漬
・ベイ茄子の田楽と海胆和え
・レバーペイスト山椒風味
・刺身 マグロのヅケ、ホウボウ、トリ貝、しめ鯖
・リンゴのキッシュ ゴルゴンゾーラと蜂蜜和え
・鹿熊養豚所の豚
・玉子かけご飯

これらに、竹鶴にごり酒、竹鶴純米三年熟成酒、
竹鶴純米無濾過生原酒、神亀、秋鹿などの地酒を合わせて、
まさに至福の酔い方をした。


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2007年3月14日(水)

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