“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第646回
蕎麦屋の山葵の使い方

蕎麦に山葵はつきもの。
「せいろ蕎麦」を蕎麦屋で注文すれば、
たいていは山葵がついてくる。
街場の蕎麦屋では練り山葵のこともあるが、
本格的な手打ち蕎麦の店では本山葵のことが多い。
それも、山葵1本を鮫肌のオロシ器とともに提供して、
蕎麦を食べる直前に客がすりおろす店もある。

この蕎麦屋の山葵だが、色々な議論がある。
本山葵を提供することが、
いい蕎麦屋の条件だという主張もあるが、
その前に蕎麦における山葵の役割とは何か考える必要がある。
蕎麦屋で山葵をどう使うかというと、
大抵の客は、蕎麦汁に山葵を入れて、
そこに蕎麦切を漬けて食べている。
これに対して、山葵は蕎麦汁と合わないから、
山葵を汁に入れるべきではない。
汁に入れると風味が飛ぶから、
刺身を食べるときのように、蕎麦の上に乗せるべきだ
という説もある。
また、山葵は蕎麦とそもそも合わないから、
蕎麦を食べるときには使わずに、
蕎麦湯を飲むときにだけ、
そこに入れて飲むという蕎麦評論家もいる。

蕎麦屋で山葵をどう使うかということだけでも、
色々な説や提案があって、
パネル討論が半日は続けられるのではないだろうか。
私はどうしているかというと、
こういう蕎麦山葵論にはあまり感心がない。
何故かというと、山葵は全く使わないから。
自分で蕎麦を打つときは、
薬味なしに、汁だけで蕎麦切を提供する。
そのほうが、蕎麦の本来の味わいと香りが直接感じられるからだ。

もし、辛味大根があれば、
それを汁に入れるのは悪くない。
大根のジアスターゼが蕎麦の澱粉を分解して、
甘みをより多く感じさせてくれると、
一茶庵創始者の片倉康雄さんは、
自著「手打ち蕎麦の技術」(旭屋出版)で述べている。
確かに、大根、それも、辛味大根は蕎麦との相性がとてもいい。


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2007年2月26日(月)

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