|  第642回簡単だが美味しい鍋とは?
 最近、自宅に知人を呼んで、会食を行うことも多くなってきた。普段の生活のなかのサイクルとして開催するには、
 特にイベントとして身構えずに、
 気楽に美味しいものを料理して提供することになる。
 そこで、準備が簡単な鍋を中心とすることが多い。
 先日も猫をもらっていただいた二組のご夫婦を呼んで、鍋を愉しむ会を行った。
 前菜は妻がささっと作ったセリのサラダにトマトのサラダ。
 そして、次がその日の昼に庭で採取した蕗の薹を使った蕗味噌。
 こちらは、前回の「世界一旨い日本酒の会」で
 大好評だったもの。
 調味料として、
 和三盆、味醂、昆布と鰹節の出汁を用いているので、
 とても柔らかい味わいだ。
 そして、どうせ出汁をとったからと、
 醤油と味醂を加えて八方出汁として、定番の温泉玉子に和える。
 さらに、西崎ファームの合鴨燻製と
 宮城屋のキヌ豆腐、キヌおぼろ豆腐、と酒肴を続ける。
 合わせた日本酒は奥播磨山田錦八割磨き。
 そして、いよいよ鍋。鍋は色々な料理の一部という位置付けであれば、
 他の料理に重ならない食材を主体として、
 味がシンプルなものにしたほうがいいが、
 今回は鍋そのものが中心としたので、
 色々な食材を組み合わせた寄せ鍋風にした。
 魚介類としては、蛤、ワタリガニ、タラ、白子など。
 それに、豚シャブ。
 寄せ鍋というと味付けした出汁で食材を煮る「煮汁鍋」のことをさす場合が多いが、
 我が家ではちり鍋のような「水鍋」方式で食材を煮る。
 食材自身が出す出汁の味が愉しめるということと、
 味付けした醤油などの風味は煮ている間に失われてしまうからだ。
 準備するものは簡単。
 醤油に柚子。
 鍋が煮えたら、食材を取り皿にとって、
 醤油と柚子の汁をかける。
 ポン酢をあらかじめ作っておいて、かけてもよい。
 そこに、鍋から煮汁をとって取り皿に注いで、
 汁の旨さも愉しむ。
 今回の会食でも、鍋は大好評だった。
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