第606回
江戸前アサクサノリが絶滅寸前
アサクサノリとは、
浅草で生産している海苔のことではなく、
江戸時代から養殖してきた海苔の種類のこと。
それが、最近では生育環境の
内湾の干潟がほとんど埋め立てられてきたせいで、
絶滅しかけている。
現に我々が日常食べている海苔は、
東北、北海道を原産とするスサビノリという種類。
特に、その一品種のナラワスサビノリが
養殖海苔の99%以上を占めていると言われている。
1965年に天然種付けが廃止され、
人口種付けが実施されるようになり、
そのときに、今では埋め立てられた
千葉県奈良輪の海岸で選抜された海苔がナラワスサビノリ。
色が黒々としていて消費者受けがいい、
病害に強い、大きく生育するという
生産者の都合に合った特長ばかり持っていて、
それ以降、全国に広まり、
病害に弱く赤みがかかっているアサクサノリは
ナラワスサビノリにとって代わられる。
アサクサノリの由来は、江戸時代に遡る。
品川で海苔養殖が開始されて、紙漉きと同じように、
海苔を四角く薄く加工するようになったが、
当時に浅草門前市で売ら始めたので、
浅草海苔と呼ばれるようになったらしい。
それ以降1960年代までは
全国の養殖海苔は全てアサクサノリだった。
ということで、現在アサクサノリは
全国で十数か所の生育地が確認されているだけ。
まさに幻の海苔。
絶滅しかけていて、
環境庁からは絶滅危惧T類に指定されいている。
そのアサクサノリを復活させようとしている
漁師のグループがあることを知った。
NPO法人「盤州里海の会」という
木更津の海苔漁師が中心になっていて、
アサクサノリの種付けを6年間試みている。
今年は、生産できれば配布するというので、会員になったが、
無事に数千枚が生産でき、2口分を送付していただいた。
その漁場見学会、試食会があるというので、参加してみた。
|