|  第598回鴨、鴨、鴨
 合鴨の燻製が旨い。これは、鉄板で炙って出したが、焼きすぎると硬くなる。
 学生にやってもらったが、なかなかいい火の通し方をしていた。
 これが秋鹿山廃雄町にとてもよく合う。
 燻香に山廃の香りが溶けあい、
 上品な脂が秋鹿独特の酸で綺麗に分解していく。
 最初はモモ、次に手羽を炙って食べたが、モモのダイナミックさ、手羽の上品さの微妙な違いが愉しめた。
 次が鴨のコンフィー。
 これは、鴨を低温の脂で煮たもの。
 もちろん、鴨の脂を使っている。
 西崎ファームで加工され、真空パックになっているので、
 そのままお湯で温めれば美味しいコンフィーとして食べられる。
 コンフィーの柔らかさと、味の濃さに
 学生たちはびっくりしていた。
 これとバケットがよく合う。
 ワインとあわせてもいいかも知れないが、
 この日はワインは用意していなかった。
 初駒の乳酸の優しさがコンフィーによく合った。
 そして、いよいよ、鴨鍋。こちらはバルバリーを2匹使う予定で
 西崎さんにお願いしてあったが、
 出荷できるバルバリー鴨が
 1匹しか当てられなかったということで、合鴨が入っていた。
 そして、今回は特別にお願いした鴨の挽肉も使用。
 本当は鴨ガラで出汁をとっておけばよかったのだが、
 今回は時間がなかったので、昆布出汁だけ。
 しかし、最初に挽肉を固めたツミレを入れて出汁をとる。
 野菜は白菜、春菊、ニンジン、大根、下仁田葱。
 そして、葛キリ。
 鍋自体には味付けせずに、ポン酢で食べる。
 ヒカリの醤油ポン酢を使っていたが、途中でなくなったので、
 初雁醤油にカボスを絞って代用。
 どちらも、鴨の味を引き立てて旨い。
 鴨鍋には秋鹿山廃山田錦がよく合う。山田錦のふくよかなふくらみが、
 鴨肉に鴨の出汁の味わいを引き出してくれる。
 学生たちも大いに満足したようで、笑顔であふれていた。
 |