|  第575回秩父「こいけ」で蕎麦屋酒を堪能
 現在執筆中の新書の取材で秩父に行くことになった。目的は烏骨鶏、アローカナ、黒鶏の卵の生産者の話を聴くため。
 どうせ秩父に行くなら、
 蕎麦の名店「こいけ」に行かない手はない。
 何時くらいに行くのが一番すいているか電話で尋ねておいて、
 開店時刻の11時頃に行くことにした。
 到着して、早速ご主人の小池重雄さんに挨拶をする。以前、「蕎麦屋酒」の取材で訪問したことを
 もちろん覚えていてくれた。
 まずは、日本酒を注文。
 木戸泉「自然酒」を出してくれる。
 香りは落ち着いていて、深みのある味わいがとてもいい。
 昼の明るいうちに飲む純米酒は本当に旨い。
 もう何にもいらないという気分にさせてくれる。
 酒肴ででてきたのが、ナメコおろしにアカモミタケの茸。ナメコは秀逸。
 とろけるような旨みと、粘りのある食感がマッチして、
 口のなかで天使が踊っている。
 アカモミタケは、文字通り赤っぽい色をしていて、
 シャキっとした食感はあるが、意外にもろく、
 口のなかで簡単に崩れていく。
 木戸泉を飲み、ナメコをいただく。
 そして、ナメコが残っているうちに、
 また、すかさず木戸泉を口に入れて、
 口のなかでのマリアージュを愉しむ。
 ナメコの甘味と木戸泉の酸味、
 そして、ナメコの粘りと木戸泉の切れがよく調和する。
 アカモミタケも崩れたそばから木戸泉を流仕込むと、
 美食の海を漂っているよう。
 そして、焼き味噌、天麩羅、蕎麦掻、せいろ蕎麦を注文。それらが、次々と供される。
 焼き味噌は、定番の杓文字に塗って炙られたもの。
 蕎麦の実の香ばしさに、味噌の旨味がからみ、
 木戸泉が進むことことうえなし。
 昼から、こんな贅沢をしていいのだろうか
 と思っていたところに、天麩羅が運ばれてきた。
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