|  第569回和食料理屋に旨い日本酒なし
 地酒ブームも過ぎて、どこの居酒屋にも地酒は定着してきた。しかし、昔から変わっていないのは、
 割烹、鮨屋、蕎麦屋、焼き鳥屋、天麩羅屋などの
 ほとんどの和食料理店に、飲みたい日本酒が置いてないことだ。
 最悪な状況だと、
 灘や伏見の大手酒造メーカーの
 アルコール添加量いっぱいの普通酒だけ。
 もちろん、大手酒造メーカーでも
 上のクラスの純米酒が置いてあれば許される。
 しかし、そんな奇特な店は皆無。
 地酒を置く和食店も増えてはきている。しかし、やはり大抵は有名地酒銘柄が圧倒的に多い。
 特に新潟や石川のいまでは
 大手にならぶ石数の蔵の銘柄を大変よく見かける。
 まあ、そういう蔵は、知名度があがり、
 このような多くの和食料理屋で出してくれるから増量して、
 数万石の清酒造りができるようになったのだろう。
 しかし、造りの規模が大きくなれば、
 当然丁寧な手間隙かけた酒造りはおろそかになる。
 悪い造りを過度な炭素濾過でごまかしている地酒が
 なんと多いことだろう。
 また、香りの高い吟醸酒しか置いていない和食料理屋も多い。やはり、知名度でしか置く酒を判断していないか、
 あるいは、店のオヤジが酒が飲めなくて、
 小売酒屋のいいなりになって、有名地酒を置いているためだ。
 こういう店には、
 たとえ料理がとても旨くても行く気にはならない。
 日本の食文化を愉しむには、
 やはり料理と日本酒のマリアージュの妙が必要。
 そういう観点で東京の和食の店を見てみると、
 ほとんどの店は落第。
 酒の品揃えの工夫がなく、せっかくの料理の味が半減する。
 本当に満足できる和食料理屋は、ほんの僅か。
 そういう店はこのコラムで紹介したり、
 私の個人ホームページ(※1)に掲載している。
 美味しい日本酒が飲みたかったら、この一部の和食店に行くか、
 ある程度日本酒をわかっている居酒屋に行くか、
 あるいは、自宅で愉しむしかない。
 本物の日本酒が普及されるには、まだまだ道は遠いようだ。
 ※1古川さんHP http://www.furukawa.bz |