“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第546回
しっかりした京料理に能勢の酒が合う

京加茂さんで、次にでてきたのは、どでかい松茸。
そして、七輪が運ばれる。
軽く炙って頬張りつくと秋の香りが口のなかに溢れてくる。

これには、秋鹿の自家栽培無農薬田の山田錦で
60%精米の「もへじ」無濾過純米生原酒を合わせる。
松茸の香りに「もへじ」の力強い味わいが加わり、
口のなかは桃源郷。
土方さんの料理と秋鹿を愉しんでいたら、
突如幹事役の酒屋さんから呼ばれて、ゲストとして紹介される。
今回来ていたお客のなかの数人は、
以前に京加茂で食事をしていたときに知り合いになっていたが、
他の皆さんとも交流ができて、愉しい会だった。

そうしているうちに、天麩羅。
レンコン、獅子唐、キスの面々がからっと揚げてある。
ここで、純米大吟醸の滓を集めた、秋鹿二曳きが登場。
この滓酒の燗がまた極上の味わい。
天麩羅の旨みがさらに引き出される。
こんなに、料理も酒も飛ばして
着地はどうなることかと思っていたら、
ここで茶碗蒸しが登場。
梅があしらってあって、お腹が落ち着いてくる。
最後の食事は「とろろご飯」。
自然薯の旨みが出汁で見事に伸ばされていて、
熱々のご飯にからまる。
お漬物も秀逸。
さすがに土方さんの料理だ。

土方さんは、京料理の伝統を守り、
そこの延長線上で
新しい食材の組み合わせなどの工夫をしている。
いわゆる創作料理とは違い、安心して京料理として食べられる。
味付けも実にしっかりとしている。
そこに、昔ながらのしっかりと造られた秋鹿が
実によく合うのだ。
秋鹿の切れのいい酸が、
土方さんの料理の味をさらに引き出してくれる。

初秋の晩の、京料理と能勢の酒の組み合わせ。
こんな嬉しい企画なら、何度も開催してほしい。


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2006年10月2日(月)

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