第467回
椎茸の原木栽培に農業の真髄を感じる
椎茸の原木栽培を開始したことを以前お知らせした。
4月初めに、コナラの原木にドリルで穴を開けて、
そこに椎茸菌の入ったコマをハンマーで打ち込む。
原木は林の中に倒して積み上げてあった。
これは、コマを打ってから風を当てすぎないため。
つまり、過度の乾燥を防ぐためだった。
今回は梅雨を迎える時季の作業で、寝かしたあった原木を立てる。
外気が湿気を帯びてくるので、
寝かしたままでは原木が湿りすぎるので、
適度に風をあてるためだ。
馬頭の畑に数名の仲間とともに休日に訪問。
農家の方の指導を受けながら、小1時間ほど作業を行った。
馬頭という地名は町村の統合政策で無くなってしまったが、
里山風景はあいかわらず心を癒してくれる。
これぞ日本の農村の原風景といえる。
人間が先人の知恵を受け継ぎ、発展してきた農村には、
自然と人間生活の暖かな融合を感じ取れる。
この風景も、産業の発展で
どこか違和感があるところが多くなってきたが、
馬頭はまだ原点を維持してくれている。
原木の立替作業だが、林のなかの傾斜地を使う。
まずは、傾斜の上部の場所に櫓を組み立てる。
原木を4本とり、2本づつ平行に交差させて、
横からみてX字をつくる。
その間に2本の横木を通して原木を地面から起こす。
これで、いずれの原木も地面に触れないようにできる。
上から見ると長方形になっている。
この櫓にさらに傾斜の下から別な原木を2本立てかける。
そして、立てかけた原木の上部に横木を1本置いて、
その横木の両端に、
さらに一段低いところから太めの原木2本を立てかける。
この太めの原木2本は太さが同じくらいのものを選ぶ。
というのは、その先につくっている
原木の櫓の方向が曲がらないためだ。
また、これらの原木は長さが違うと櫓が組みにくいので、
ほぼ同じ長さに最初から切ってある。
両端に立てた2本の原木の間には少し細い原木を2本ほど入れる。
細い原木は乾燥しやすいことと、
次の横木が両端の原木だけにあたって、
櫓の形状がまっすぐ伸びるようにするためだ。
ということで、両端の2本の太めの原木の上部に横木を寝かせる。
こういった作業を繰り返し、
原木の櫓を傾斜の上部から下へむかって段々と積み重ねて行く。
30分ほどで100本の原木全てが組み立てられて、
地面から浮いた上体にすることができた。
原木を組み立てた櫓を見て、先人の知恵には本当に感心。
道具は何もいらない。
傾斜地の林があれば手作業で簡単にできる。
難しい技術は全くないが、
それでも現代では手間がかかると敬遠されているのだ。
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