|  第455回蔵元での宴は延々と続く
 午後の時間は、るみ子さん、森喜社長とも、いろいろと仕事があったので、勝手に利き酒をさせてもらった。
 備前雄町は今年初めて造りを経験したという。というか、実は以前から私が雄町での造りを勧めていた。
 るみ子さんは積極派でやりたいといい、
 社長は慎重派で新しいスペックは十分検討するタイプ。
 実際に造るまでに5年が経過していた。
 この今年の雄町はそれまでにも2回ほど飲んだことがあった。時期が3月と新酒間もない頃だったので、
 とくかく若いという印象が強かった。
 今回は時間が経過しているので、
 それでどのように味の変化がでてきているかが愉しみだ。
 口に含むと綺麗な味わいが広がる。
 秋鹿の雄町のような鮮烈な切れ味、
 奥播磨の雄町のような中に潜む深みとはまた違った、
 独特の旨みが感じられる。
 しかし、まだまだ若く味ができっていない。
 そう思っていて、あとで燗にしてみたら、酸がぱっとでてきて、味のバランスがとてもよくなった。
 これは、熟成してうまくなりそうだ。
 純米大吟醸は、吟醸香はほとんどしない。綺麗なふくらみのある味わい。
 次に「ひとごこち」を使った2種類の「すっぴんるみ子」を比べる。
 9号酵母は綺麗な味わい、7号酵母はしゃきっとした味わい。
 「ひとごこち」という米の酒は初めて飲んだが、
 なかなか好みだった。
 八反錦の6号酵母の「すっぴんるみ子」は、ちょっと田舎臭さがあるが、
 芳醇ななかに優しく癒される味わいも含まれている。
 「英」は生もとが面白かった。
 今年の「生もと」60%精米歩合のものは、旨みがもう出ている。
 これまでの年では、
 3年くらい経たないと味が乗らないのではと思えるほどの、
 固い味だったのと対照的。
 90%精米歩合の「生もと」チャレンジ90第3章がとても面白い。濃いが綺麗な味。しかし、まだまだ若い。
 これらの、生もとの燗がまた、旨かった。
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