|  第435回いいイタリアワインが安く飲める店
 最近、川頭義之著「イタリアワイン最強ガイド」(文芸春秋)という本を読んだ。
 いい造りをしているイタリアワインの造り手が紹介され、
 造りをよくするための努力が語られている。
 この本の結論としては、いいワインを造るには、
 醸造以前の葡萄栽培が一番重要であり、
 そこに努力をつぎ込まないと、いいワインにはならない
 というしごくまっとうなことが述べてある。
 食べものでもそうだが、
 原材料が一番大事なのはワインも同じだ。
 さらに、ワイン業界の裏事情などが書かれていて、
 売り手がメディアに載せて
 シンデレラワインとしてデビューさせる話など、
 日本酒業界と通じるところもあり、とても興味深く読めた。
 この本の著者はイタリアワインのインポーターで、自分が扱っているワインもお勧めリストのなかに載っている。
 そのワインはどれかということは
 印がついていて分かる仕組みにはなっている。
 自書を通じて宣伝しているのはどうかと思う人もいるであろうが、
 要は自分の扱っているものと、
 他のワインを公平に評価しているかどうかだ。
 これは、紹介しているワインを色々と飲んでみればわかるが、
 まずはお勧めの料理屋の実力を見てみようということにした。
 その「イタリアワイン最強ガイド」のなかで、東京でいいイタリアワインが訂正な価格で飲める店の紹介もある。
 しかし、その数は僅か3軒。
 他にはいいワインは置いてあっても、
 販売価格が適正とはいえないと書いてある。
 そこで、著者の勧める料理屋の1軒へ行ってみて、
 確認してみることになった。
 訪問したのは、新橋「ピッツェリア・ドーロ」。新橋駅の烏森口を出て徒歩5分ほど。
 「ビアライゼ98」のすぐ近くにある。
 店内は奥に細長く、その一番奥の席に案内される。
 大衆的な雰囲気の店だが、机はわりとゆったりしていて、
 照明も暗め。
 落ち着いて料理とワインが楽しめそうだ。
 まずは、グラススプマンテを注文。
 モンテベッロ・ブリュットが550円。
 最初は「12種の野菜サラダ」を注文。
 巨大な皿に山盛り。
 ドレッシングは客が好みでオリーブオイル、ワインビネガー、
 塩、胡椒を調合してつくる。
 野菜は極めて新鮮で旨みいっぱい。
 次に「海産物いっぱいのピザ」。こちらも秀逸。
 相当でかいピザがこんがりと焼かれていて、
 生地の旨さと香ばしさに、
 海老、烏賊などの海産物の旨さが溶け込んでいる。
 白のグラスワイン650円を追加。
 メインは「茨城産骨付き味来豚の網焼き」を注文したら、時間がかかるので、他の特別な豚料理はいかがかと勧められる。
 これは、皮つきの肉で、頬肉を包み、焼き上げ、
 薄くスライスしたもの。
 頬肉の旨みに、皮の脂が絡んでとても美味。
 あわせたワインは、最初はワインリストにあったカルチナイアのセルビオーノ・ロッサを飲みたかったのだが、
 切らしているというので、お勧めに従って、
 テヌータ・ラ・ピアッツァのマニフィカットにした。
 カベルネソービニオンのワインでボルドーより綺麗な味わい。
 2001年だったが味がよく乗っていて飲みやすい。
 最後にドルチェとデザートワイン。
 ドルチェはチョコレートとアイスをあわせたケーキ。
 これに、甘いワインがよく合う。
 これだけ食べて飲んで、腹いっぱいで、二人で16000円ちょっと。とてもいい店だった。
 これで、「イタリアワイン最強ガイド」の評価がまた上昇した。
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