|  第427回錦糸町「井のなか」再訪
 開店そうそうに錦糸町「井のなか」の日本酒と料理を堪能したが、
 2週間くらい経ってから、
 その後の変化を確認したくて再訪した。
 今回もカウンターで店主の工藤さん、
 通常の料理担当の五十嵐さんと対話しながらの酒宴になる。
 前回の訪問では、豚のオーブン焼きのソースについて、ワインベースのものと、日本酒ベースのものがあって、
 試食を頼まれた。
 日本酒ベースのものは、滑らかさがいくらか不足していたので、
 味噌を隠し味として入れることを提案した。
 それによって、適度なコクもでてきて、
 酒肴としての完成度があがったことを感謝されていた。
 そのような前回の経緯もあり、お品書きを眺めていると、
 今回は全てお任せで出させてくださいと工藤さんに言われる。
 色々と工夫している料理があり、
 まだ、メニューに載せていないものについては、
 私の意見を聴いてから一般のお客に出したいという。
 これは大変だが光栄な役割。
 二つ返事で引き受けた。
 まずは、つみれ汁。これは定番で前回もいただいている。
 穏やかでやさしい味付けで、食欲が一気にでてくる。
 次が鳴門の漁師、村公一さんの若布とシャコツメの和え物。
 シャキっとした若布の歯ごたえに、
 シャコツメの旨みが乗って美味。
 そして、生の高菜のお浸し。
 生の高菜が珍しく入ったという。
 高菜の旨みがよくでていると感想を述べる。
 高菜はエグミが強いので、よく水に浸すが、
 それでは味も逃げるので、そのまま出汁で炊いただけという。
 筍とコンニャクを炊いたものも、
 自然な味付けで、しっとりと燗酒を飲むのによく合う。
 そして、ハイライト2品。まずはピザ。
 玉葱、椎茸などの野菜が作り出す味わいが
 日本酒に実によく合う。
 そして、トーストの上にモッツァレラを溶かし、
 その上にミニトマトを焼いたものが乗せてある。
 これが、上品なモッツァレラとトマトの酸味があって、
 酸がよくでている日本酒によく合う。
 いずれも、今回は文句のつけようのない料理だった。
 「井のなか」は店主の工藤さん、料理担当の五十嵐さんの、美味しいものをなんとか工夫して、
 お客に提供したいという意識が大変高く、
 これからもどんどん成長することが期待できる。
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