“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第329回
桜会の昼の宴はまだ続く

満田さんは、年に一度は神亀酒造詣でを行う。
地酒や調味料について色々なことを専務から教わったという。
割烹料理屋はあまりに地酒のことをおざなりにしている。
もっと、料理に合う地酒を
きちっと提供する料理屋が増えてほしいと熱く語る。
この点は、私の意見と全く同じだ。

〆鯖がまた秀逸。
鯖の旨みというのは、他のどの魚も真似ができない独特のものだ。
次が生牡蠣。二つの生牡蠣が
それぞれ別な大きめの銀のスプーンに乗っている。
これを口の中にいれて、ちょっと噛んでから
日本酒を口のなかに入れて合わせることを勧められる。
日本酒は岩手の川村酒造の「酔右衛門」。

次に八寸が提供される。
横幅が30cmくらいのくねっと曲線美を描いた細長いお盆の上に
綺麗に小鉢、料理が並んでいる。
モズク酢にタスマニア産の胡椒を浮かせたもの、
紅芋寄せ、掻揚げ、胡桃の素揚、
干し柿の中にバターを入れたもの、卵の黄身酢和え、
グリーアスパラなどなど。
いずれも、素材の旨みがよくでている。

焼物はサワラの味噌漬け。
東京でいう西京焼き。
香ばしい味噌の香りがサワラの旨みを演出している。

次にでてきたのが、「豚の角煮」ならず、「豚の角蒸し」。
蒸すことで味が逃げないという。
柔らかく蒸された豚の脂がまたとろけるようで旨い。
そして、最後に卵の黄身を泡状にしたエスプーマ。

食事は茸御飯。
お米は湧き水だけで無農薬栽培しているもの。
この時点で相当お腹がいっぱいではあったが、
この炊きこみご飯がまた抵抗感なしに口の中に入っていく。
粕汁もとても旨かった。

奇をてらわずに、より素材の美味しさを引き出すために
新しい料理の工夫を行う。
これは、言うは易く、行うは難しい。
『桜会』は大阪の市内からははずれたところにあり、
駅からタクシーを利用しないと行きにくい。
しかし、不便な場所を敢えて選んで、
最初は地道に地元の客相手に実力をつけ、
いまでは料理で勝負という意気込みは素晴らしい。
ぜひとも、時間をかけてでも訪問する価値のある店だ。


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2005年12月1日(木)

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