“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第325回
ハタハタ鍋に厚岸の焼き牡蠣で仕上げ

小樽からとったハタハタは鮮度抜群。
ぷりっとした艶かしい姿が美しい。
卵がいっぱい入っていた。
卵をつぶさないように肝だけとったところ、
すごく綺麗だったので、途中で肝をとらないことにした。
鍋は胡桃亭の村上さんが準備してくれた。
店で作ってきた出汁で野菜を煮て、ハタハタを入れる。
しばらく待ってできあがり。

ハタハタは煮込んでいる間にバラバラとなっている。
骨の周りの肉が旨い。
骨もそのまま食べても大丈夫。
卵はぷちっとしていて、噛むとはらっとくずれる。
そのときに浸み込んでいた出汁がじゅっとでてきて、
旨みも口のなかに溢れてくる。
そのあとで、出汁を飲み、口のなかをさらに幸せにする。

野菜がまた旨い。
白菜は白眉。豆腐は横浜の「宮城屋」さんのものを使用したが、
これがまた、ハタハタのよく出た出汁が適度に浸みていて旨い。
熱々の豆腐が口のなかに崩れていくさまは、
天使が踊っているようだ。
合わせた酒は秋鹿の山廃。
秋鹿のキレのよさと、ハタハタの卵の粘りが不思議と合う。

ハタハタを一通り愉しんだ後で、厚岸の牡蠣を焼く。
あいかわらず、厚岸の牡蠣は大ぶりだ。
広島方面の牡蠣も大きいが、厚岸のほうが厚みがある。
最近は牡蠣は生牡蠣よりは
火を通して食べることのほうが圧倒的に多い。
生牡蠣は、そこそこ美味しいがどうしても生臭みが気になる。
冷酒を飲んだときのひっかかりに通じるところがある。
その点、焼き牡蠣は雑味、生臭みが消えて、
旨みだけが凝縮されて残る。
炭火でやいて、湯気がでているものを一気にほうばる。
海の香りが口のなかに広がり、芳醇な旨みが溢れてきた。
山の中で海を感じる幸せ。

こちらは、奥播磨H9BYと合わせた。
奥播磨の複雑味が牡蠣の複雑な旨みをよく引き出してくれる。
周囲はいよいよ冷えてきて、
焚き火の暖かさが天国のように思えてくる。
あとは、テントで寝るだけ。
翌朝は村上さんが自ら打ってきた饂飩でカマ玉の朝食の予定。
朝起きるのも楽しみだ。


←前回記事へ

2005年11月25日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ