“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第274回
築地場内市場で仕入れて、極上の宴会を行う

ある秋口の日に、久しぶりに築地場内市場に買出しに行った。
少人数の宴会を予定していたので、
少量の上物を中心にしようと企画していた。
お祝いということで、天然の鯛をまず探したところ、
小振りのいいものが見つかった。
本当は秋が深まることには鯛の味はさらに乗ってくるが、
秋口でもいいものは十分旨い。
同じ仲買で白イカを5杯仕入れる。
鯛と合わせて3000円弱。

次にマダカ鮑を仕入れる。
昨年dancyu誌の取材で訪問した仲買で、場所はまだ覚えていた。
マダカ鮑としては小さめのものを買う。
これが7000円くらい。
さらに、海胆を専門店で仕入れる。
300グラムが並の3000円から特上6500円まである。
仲買のご主人からさらにスペシャルがあると勧められるが、
量が600グラムもあるというので、
今回の少人数の宴会では多すぎると躊躇。
すると、少量でよければ、希少な商品があるというので、
何かと思えば、ミョウバンなどの添加物が入っていないという。
ミョウバンが入らずに、形を綺麗に維持して配送するのは難しい。
それで、無添加の海胆は築地場内といえどもなかなか見られない。
150gで3000円という値段。
9月に入っているので、利尻の海胆は終わっていて、
これは函館のものだった。

これらの食材に、さらに、松茸を買い足して宴会を行った。
まずは、鯛は三枚に卸して刺身に。
片身は皮を剥き、
もう一方は皮をつけたまま熱湯をかけて氷水で冷まし松皮造りに。
アラは潮汁にして、煮込む。

鮑は肝をはずして、まず肝をフライパンで炒め、
醤油と酒で肝ソースを造ってステーキにする。
白イカは刺身にする。

まずは、海胆からいただく。
合わせた酒は、開運「純米大吟醸 波瀬正吉」10年古酒。
この酒は常温熟成をしていたもので、まったく崩れていない。
ほどよい熟成の香味が品よく口のなかに広がる。
海胆との相性は抜群。
これほどの味の調和はワインでは見られない。
海胆の甘みを開運の熟成の深みが押しだしてくれる。

次が鯛と白イカのお造り。
これも開運の上品な味わいによく調和する。
そして、マダカ鮑のステーキ。
ここから、悦凱陣山廃純米無濾過生原酒「雄町」
平成12年度醸造に変更。
これも常温自家熟成したもの。
生ヒネもでていなくて、旨みだけがあふれかえる。
悦凱陣は貝類によく合うが、
この熟成酒もまさに
鮑ステーキに合わせるために持ってきたような相性だった。

松茸は中国産だったが、立派な弾力のあるもの。
これは、スープをとって、松茸饂飩にしあげる。

築地場内で仕入れた魚介類を小宴会で堪能した。


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2005年9月15日(木)

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