“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第263回
西那須野から馬頭温泉の美味の旅

渓流宴会の後片付けが終わり、近くの温泉でまずさっぱりとする。
そうしているうちに、昼時となり、
渓流宴会で同行した村上さんの店である『胡桃亭』へ向う。
村上さんは一足先に店に帰り、支度を終えていた。

注文したものは、蕎麦掻(そばがき)、玉子焼き、蕎麦寿司、
それに、おろし蕎麦。
蕎麦掻はあいかわらずふわっと作ってあって、
超粗挽き蕎麦粉の味わいが前面に出ている。
醤油で食すが、シンプルな味の調和がとてもいい。
玉子焼きは奥に秘める出汁の味わいが
玉子の甘みを押し上げている。
本当は日本酒が飲みたいところだったが、
車の運転があるので、お茶で我慢。
たまにはしょうがない。

蕎麦寿司は、蕎麦切りに酢をして海苔巻きにしたものだが、
酢と海苔が蕎麦の甘みを引き出している。
そして、最後におろし蕎麦。
胡桃亭の大根おろしは、信州産の辛味大根を使っている。
これはネズミ大根ともいって、
短い大根の先にネズミのような細い尻尾がついているもので、
相当に辛い。
ただ、辛いといっても唐辛子のようなピリっとした辛さではなく、
後口がさっぱりとする清楚な辛味だ。
大根の辛さと蕎麦切りの甘さが対立するようで、
よく調和している。

満足の昼食を終えて、次の目的地である馬頭へ向う。
馬頭は山ひとつ越えると茨城県奥久慈の大子で、
同じ蕎麦の名産地として知られている。
次の日の朝に、蕎麦の契約栽培の畑の種蒔があるので、
前日は馬頭温泉に泊まることにしたわけだ。

馬頭に村おこしでできた広重美術館を訪問。
木と鉄骨を組み合わせた面白い建屋のなかで、
江戸から明治に活躍した数名の浮世絵画家の作品を鑑賞する。
この美術館は解説がとても丁寧で、すごく勉強になる。
広重美術館を後にして、
馬頭温泉の宿「いさみ館」にチェックイン。
小振りの木造建築の宿で、サービスがアットホーム。
部屋の窓からは那珂川の流れが見える。
料理も無農薬米など自然で安全な食材にこだわったもので、
ほっとする旨さがある。
温泉もぬるっとしたあたりのいい湯で、
お肌がつるつるとなりそう。
翌日の種蒔へ向けて、英気をやしなえた。


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2005年8月31日(水)

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