|  第255回蕎麦の種蒔の前夜祭
 いよいよ、蕎麦栽培のスタートの種蒔の時季になった。内地では旧盆の頃に種蒔をところが多い。
 今年も栃木県芳賀町にある畑に十数名が集合した。
 そして、その前日には、蕎麦打ち教室と前夜祭を行った。
 ちょうど、その畑の持ち主が普段は使用していない家屋が
 畑に隣接していて、そこに寝泊りできる。
 蕎麦打ち教室では、前回説明したように、つなぎの小麦粉を使わずに100%蕎麦粉で指導し、
 全員が立派な蕎麦切りを完成させた。
 最初の模範演技は私が行ったが、
 その後の初心者の打ち方の指導は
 仲間の蕎麦打ちベテランたちにまかせて、
 私は宴会で使う魚を捌くことにした。
 今回は小樽の三角市場から八角、ホッケを、
 厚岸漁労組合からは牡蠣を、
 そして、つくばの西崎ファームからは
 バルバリー鴨と合鴨燻製を送ってもらっていた。
 まずは、八角を捌く。今年の夏に八角を捌くのは3回目。
 手順はいやでも頭に入っていて、手が自然に動く。
 しかし、皮が硬くトゲが表面にあるので、
 皮を手で剥くときに結構手のひらが痛くなる。
 8匹全てを三枚におろしたときには、
 小指の付け根あたりに細かい傷がついていた。
 捌いている途中で、西崎ファームの西崎社長が
 つくば市のフランスシェフを連れて到着。
 実はその日にたまたま西崎さんから携帯に電話があって、
 そちらのイベントは面白そうと急遽合流することになっていた。
 バルバリー鴨は結局西崎さんが筋を取り、フレンチシェフが調理することになった。
 フライパンでローストを作るという。
 皮目にさいの目に包丁を入れて、皮側から焼き始める。
 数分たって裏返し。
 焼いている間じゅう、鴨自身から脂が滴り落ちるから、
 脂を使う必要がない。
 八角の身はお造りにし、アラは潮汁にした。今回の八角も脂が乗っていて、とても美味。
 バルバリー鴨もさすがに火の通し方が絶妙で旨い。
 上品な香ばしさと、
 ほんの少しの脂の旨みが溶け合っていて酒が進む。
 今回準備した日本酒は、
 秋鹿「山廃純米70%精白無濾過生原酒」の
 山田錦と雄町という2種類のスペック。
 現時点では山田錦のほうが深みがでていて、
 味のバランスはよかったが、
 雄町の鋭い味わいは今後の熟成でとてもよくなりそうだ。
 鴨にも、八角の刺身にもとてもよく合う。
 さらに、奥播磨「白影泉」と悦凱陣という定番の美酒も開ける。厚岸の牡蠣は特大のものを仕入れてあったが、焼牡蠣にした。
 今回は手間を省くために電子レンジで仲間が焼く。
 これが、また絶妙の火の通り方で、
 フレンチのシェフが感心していた。
 牡蠣にはやはり悦凱陣がよく合う。
 種蒔の前夜祭ということで早めに切り上げる予定が、結局は深夜まで飲み続けることになってしまった。
 しかし、翌朝は快調に起きて、農作業に精を出すことができた。
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