|  第254回蕎麦打ち教室はつなぎを使わない
 蕎麦打ちはあいかわらず人気が高い習い事のようで、各地で蕎麦打ち教室が開催されている。
 大概の蕎麦打ち教室は、
 蕎麦粉と小麦粉の割合を8対2にした、
 いわゆる二八蕎麦の割合の粉を使って、
 蕎麦打ちを指導することが多いようだ。
 蕎麦粉が80%ということで、蕎麦の風味も楽しめるし、
 小麦粉が20%入っていることでつながり易い蕎麦になる。
 先日、栃木の畑での蕎麦栽培会の種蒔前日に行った蕎麦打ち教室では、
 つなぎは使わず、蕎麦粉100%で指導をした。
 私が講師になる蕎麦打ち教室では、
 基本的に蕎麦粉100%で行っている。
 何故わざわざ難しい生粉打ちを教えているかというと、
 そのほうが上達が早いと考えているからだ。
 つなぎを使うのは本物の蕎麦じゃないとか、
 蕎麦粉100%が美味しいとか、そんな理由ではないし、
 そのようにも考えてはいない。
 蕎麦打ちで初心者が一番難しいと感じるのは、加水の具合をどう読みきるかということだ。
 蕎麦がつながるかどうかというのは、
 水が蕎麦粉の間に均等に入っていって、
 それが、ある割合になったときに、
 蕎麦粉が互いに引き付けあってまとまってくれる。
 それが、蕎麦粉100%の場合は、
 加水の具合をピンポイントに調整する必要がある。
 ちょっと水を入れすぎると「ずるだま」といって、
 べちゃっとしたドウになるし、
 水が少ないと延しているうちにひび割れしてくる。
 これが、小麦粉をつなぎにしたり、玉子を入れたりすると、加水の加減はもっと寛容になる。
 少しくらい水加減を間違えても、
 小麦粉のグルテンで蕎麦はつながってしまう。
 このような理由から、加水の加減を正しく覚えるには、100%蕎麦粉で打つ
 「生粉打ち」が一番いいのではないかと考えている。
 神楽坂の蕎麦の名店である
 「たかさご」のご主人の宮澤さんが講師をしている教室でも
 同じく「生粉打ち」で教えている。
 宮澤さんも同じ意見だ。
 蕎麦打ち初心者こそ、生粉打ちに挑戦してみることが、
 加水のこつをつかむいい練習になる。
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