|  第246回厚岸(あっけし)牡蠣の旬は5月〜6月
 美味しい牡蠣を久しぶりに堪能した。札幌を訪問するときには必ず寄る店「開(ひらく)」でのこと。
 厚岸の牡蠣の第二の旬は5月と6月という。
 寒い冬が過ぎ春になると、
 厚岸湾のプランクトンが雪解けの水にまざり増えてくる。
 それを牡蠣が食べて栄養をとり、この頃が一番味のノリがいい。
 今年は残念ながら札幌を訪問したのは7月の終わりであったが、
 それでも十分すぎるほど厚岸の牡蠣の味わいは深いものだった。
 厚岸の牡蠣は真夏でも生ガキで食べられる。これは、厚岸には内湾で養殖した牡蠣のうちに、
 湾の外の冷たい海水に移動させたものもあって、
 産卵時期を調整しているからだ。
 ということで、スタートは生ガキ。
 小樽ビールに最初はあわせ、
 その後、黒帯「悠々」の燗で楽しんだ。
 ミルキーな味わいとコクがたまらない。
 牡蠣独特の生臭さが黒帯の垢抜けしない旨みと相乗効果で、
 軽快さに変ってくる。
 まさにマリアッジュ。
 「開」には一人で訪問。食べた牡蠣の調理法の種類は、
 生ガキ以外は、焼牡蠣、ステーキ、酒蒸しと、全部で4種類。
 全て、2個づついただいた。
 「開」では一人の客用に牡蠣を何個単位でも出してくれる。
 メニューにはそうは書いていないが。
 それで、色々な牡蠣の調理方法を楽しめる。
 焼牡蠣を食べると、生ガキは食べなくてもよかったと思えるほど旨い。
 焼くことによって、生臭さが消えて、
 しかも、旨みが前面にでてきている。
 これぞいい食材は単純な調理が一番適している好例だ。
 黒帯の燗がよく進む。
 同時に、サンマ、マイカ、海胆、ソイの刺身も出してもらう。
 これらも秀逸至極。
 サンマは初物で脂は少ないが、上品で繊細な旨みがある。
 海胆は馬糞海胆でオレンジ色が美しい。
 新鮮で生臭みは一切なく、
 コクのある旨みが口のなかでとろけて出てくる。
 ソイも上品。
 ぷりっとした食感がまたたまらない。
 札幌の牡蠣堪能の夜は次第にふけてゆく。
 その後の牡蠣のステーキ、酒蒸しがいよいよ楽しみになってくる。
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