“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第173回
鯛の白子

魚の白子は独特の旨みがある。
真鱈の白子はもちろん、河豚の白子は絶品。
河豚の白子の濃厚な味わいは、
超熱燗の酒で溶いて、白子酒にするととても旨い。
酒の旨みが白子の生臭さを消して、旨みだけを引き出す。
真鱈の白子、河豚の白子は冬の時季だけで、
春には終わってしまうが、
5月になると鯛の白子が築地に出回る。

鯛の白子は真鱈、河豚のものに比べると独特の癖がある。
張りも強い。
真鱈の白子は繊細なコクが特徴だが、
鯛のものはダイナミックな旨みがある。
それを旨く引き出すことが必要だ。
それで、塩をして、酒に漬けて生臭みを抜き、
それを昆布で〆ておいて酒盗を造ると、
なかなかいい酒肴になる。
酒と昆布の旨みが
白子のふくらみのある旨みによく調和して、
口のなかに幸せな味わいがひろがってくる。

生臭みをとるには、火にかける方法もいい。
単純に炭火で炙れば、ダイレクトに旨みが味わえる。
塩で食べてもいいし、醤油も香ばしく焼ける。
ホイルで包んで酒蒸しやシャンパン蒸しにしてもいい。

天麩羅も真鱈のとは違った風味が楽しめる。
さっと湯引きしてポン酢で食べてもいいし、
まだ試したことは無いが、
鍋にしてもきっと旨いことだろう。
いずれにしても、塩をして最初に生臭みをとったほうが
旨みが引き出せる。

鯛の白子は普通の魚屋にはあまり出回らないが、
築地の場内に行けば確実に入手ができる。
最近では築地の中卸は
素人でも売ってくれる店がほとんどなので、
ぜひ、この機会に築地を訪れることをお勧めしたい。
ついでに、場内の鮨屋で朝食を食べるのも楽しみだ。
築地の鮨屋は江戸前仕事はしていない場合が多いが、
ネタは飛び切りいいものを使っている。
こういう鮨屋に行くと逆に、
江戸前仕事のよさを再認識もすることになる。
5月には鯛が産卵を迎えて味が落ちる代わりに、
白子が楽しめることになる。


←前回記事へ

2005年4月13日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ