|  第155回純米無濾過生原酒は一時の流行か?
 その5 食中酒としての日本酒
 日本酒をどのようなシチュエーションで飲むと美味しいかというと、食事に合わすことが圧倒的にいいはずだ。
 日本酒のよさは料理との相性であり、
 いい酒はいい料理をさらに引き立たせる。
 このような、食中酒として日本酒を位置づけると、
 純米無濾過生原酒ほど適したものはない。
 もちろん、通常の加水して火入れした日本酒でも、2〜3年寝かせれば食中酒として大変美味しくなるものもある。
 大手の剣菱などは、
 全ての銘柄を山田錦で山廃造りで仕上げていて、
 それを最低2年熟成させてから市場に出している。
 桶買いしているものもあるが、
 それらも、相手の蔵に自社と同じスペックで造ってもらっている。
 このように、2年は熟成すれば
 食中酒としての、味乗り、落ち着きがでてくる。
 純米無濾過生原酒のいいところは、上槽してから1年以内でも、
 味が乗って食中酒として美味しく飲めるという点だ。
 酒だけ飲むという習慣の飲兵衛には、
 純米無濾過生原酒は芳醇すぎて合わないかもしれない。
 その味の濃さが料理を引き立ててくれる。
 また、いい造りの純米無濾過生原酒は酸度が高い。この酸味が食欲を引き出し、料理をさらに美味しくさせる。
 ワインが食中酒として確立されているのも、
 酸がよくでているからだ。
 純米無濾過生原酒の酸はワインよりもまろやかであり、
 やさしさがある。
 特に山廃造りのもの、生
  造りのものは、 おだやかな乳酸の味わいが食をとてもよく進める。
 酢の物などと合わすと、醸造酢の酸味と日本酒の酸とが、
 ちょっと違った味わいながら、よくマッチして、
 とてもいい相性を示すことが多い。
 いい造りの純米無濾過生原酒を最初は常温で、そして、次には燗で、最後に燗冷ましで料理と合わせると、
 毎日の夕食がとても愉しくなる
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