|  第142回南アワインと野獣の料理
 以前南アの首都のプレトリアで国際会議があり、技術論文を発表するために訪問したことがある。
 アフリカに足を踏み入れるのはそのときが初めてで、
 それ以来2度目の機会はまだきていない。
 そのときの興味は、アフリカの地に足を踏み入れて、野生の動物を見てみたいということはもちろんあったが、
 野生の動物を食べ、南アワインを飲むということが
 一番の楽しみであった。
 南アは相当治安が悪いことで有名であり、
 しかも、マラリアなどの熱帯病のリスクもあったが、
 せっかくの機会を楽しむことになった。
 まず、野生の動物であるが、これは当地の料理方法がとても甘い味付けであって、
 食材の味がよくわからないように提供されたので、
 評価のしようがなかった。
 シマウマ、インペラ、ダチョウなどを食べたが、
 火も通しすぎで味はよくわからなかった。
 これに対して、南アワインは素晴らしかった。
 それまで日本で飲む南アワインというと、なんとなくボケた味わいという印象が強かったが、
 南アワインも色々あり、
 上のクラスの品質はとても高いことがよくわかった。
 例えば、テレマのカベルネソービニヨンなどは、
 ボルドーの高級ワインにも負けない旨さでびっくり。
 他にも、ローゼンダールなどいいワインがたくさんあった。
 しかも、いずれもとても安いのにびっくり。
 2000円もだせば、最高品質の南アワインが入手できるのだ。
 これが日本に帰ると2倍、3倍で売られている。
 クライネ・コンスタンシアという甘いワインがまた秀逸。綺麗な甘みとこくがあり、デザートワインとして最適。
 プレトリアの市内にあるフランス料理店で美味しくいただいた。
 南アは貧富の差が激しく、
 庶民は代々木公園内に不法設置された
 ダンボールハウスに毛の生えたような家に住んでいるが、
 金持ちは高い塀の囲いがある白亜の殿堂のような
 立派な邸宅を持っている。
 当然、金持ち用の高級料理店があり、それが、また旨い。
 南アワインは小さい造りの真面目なワインハウスのものを選択すれば、
 ポテンシャルが高いことが確認できて、
 とても有意義な旅であった。
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