|  第139回花見は日本文化の原点
 寒風が吹くなかで、街路樹の芽が膨らんできている。そろそろ、梅が咲き始め、桜も待ち遠しくなってくる頃だ。
 現在は、桜が梅よりも人気が高いようだが、
 もともとの花見は梅が桜よりも高貴とされていたようだ。
 日本での花見は、もともとはその年の稲の稔りを占うことで行われていた。
 花のつきかたで豊作かどうかを神から教えてもらう。
 そのときに、神に近づくために酒を飲み、
 精神的な高揚を感じる、というわけだ。
 極めて神聖な行事であったわけである。
 飛鳥、平安の頃は梅の花見が普通だったようだが、万葉集などに桜の花見の記述がある歌はあるので、
 桜も徐々に花見をするようになっていったと推測されている。
 桜の花見が大々的に行われたイベントとしては、
 豊臣秀吉の醍醐の花見が有名だ。
 醍醐は今でも醍醐寺の敷地は山になっていて、
 下から桜前線が登っていく。
 満開の頃は素晴しいらしいが、
 私が一度訪問したときは、
 残念ながらふもとで2分咲きくらいであった。
 東京の桜の時季に比べて
 1週間程度遅いということを知らずに訪れた結果だった。
 庶民が花見をするようになったのは江戸の頃で、ハレの日として弁当を持参して宴会を行うようになっていった。
 これが現在に通ずるわけだ。
 で、私自身花見は大好きで、毎年数回の花見に参加している。多い年だと5回花見を行い、
 そのうち昼は宇都宮の八幡山公園、
 夜は埼玉県白子の理化学研究所と、
 1日で2回花見の場所を移して連荘したこともある。
 花見で愉しくすごすには、場所の問題もあるが、
 十分に酒と肴を準備することだ。
 さらに、火を使ったりして、
 焼き物、鍋、燗酒などを愉しむのもとてもいい。
 また、料理店の弁当を事前に予約して
 持っていくのもバリエーションができる。
 私が自分で企画する花見は3月の初めころからどのようなイメージで、どこで開催するかを考えて、
 料理を決める。
 下ごしらえをしておけば、
 現地であまり手をかけない料理を選ぶ。
 昨年開催した花見では、
 魚介類と鴨のBBQ、湯豆腐、お造りを自前で現地で作り、
 江戸前鮨屋の「ばらちらし」、
 割烹料理屋の「花見用特別弁当」を少量仕入れておいた。
 酒はもちろん日本酒を数種類。お燗をする。
 場所は桜が綺麗なことはもちろん、火を使えて、あまり混まないところ、
 そして、交通の便がよいところが理想だ。
 実は、都内でも無名の花見の場所は結構いっぱい残されている。
 我々が夜桜で利用する場所は平日だと、
 混雑率が20%程度で、まわりのグループが全然気にならない。
 花見も、漠然とやるよりは、
 計画性を持ってやったほうが、断然美味しい。
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