第103回
鶏年は地鶏で行こう
今年は鶏年だ。
美味しい鶏といえば、
名古屋コーチン、比内地鶏、薩摩軍鶏、奥久慈軍鶏
などの地鶏が思い浮かぶ。
世間ではブロイラーは大量生産のまずい鶏、
地鶏は手間隙かけて育てた美味しい鶏という認識があるが、
実は地鶏よりもブロイラーのほうが旨いことも多い。
地鶏はきちっとした育て方ができれば、
本当に旨い鶏になるのだが、結構管理が難しい。
本来は以前紹介した西崎ファームの鴨農場のように、
広い農場に放し飼いをして自然育成をすることがベストだ。
囲われた小屋のなかでの平飼いは
鶏にストレスがたまりやすいので、
肉質にも悪影響を及ぼすだけでなく、
病気にもかかりやすくなる。
放し飼いをすればストレスもたまらず、免疫力もできてくる。
しかし、通常の農場経営者は
鳥インフルエンザでもでたら大損害となるので、
ワクチンを接種したり、
また、経費を抑えるために
履歴のわからない配合飼料を使ったり、管理はまちまちだ。
地鶏はブロイラーに比べて管理が難しいので、
ヘタに育てた地鶏よりは、
ちゃんと管理しているブロイラーのほうが美味しい。
以前、琴平で購入して
造り酒屋の軒下で調理して食べたブロイラーは、
脂こさも少なく、なかなかの味だった。
もちろん、きちっと自然育成で育てた地鶏には
ブロイラーはかなわない。
価格からいっても4倍の違いがある。
地鶏の定義は何かというと、
最近では1993年に制定された特定JAS法のなかに、
地鶏の規格がある。
概略を分かりやすく文章を変えて示すと
以下のようなことが決められている。
・素びな:日本の在来種の血が50%以上入いっていて、
出生の証明ができる。
・飼育期間:孵化日から80日間以上飼育していること。
・飼育方法:28日齢以降、平飼いで飼育。
・飼育密度:28日齢以降、1m2当たり10羽以下で飼育。
では、特定JAS法の承認を受けていないと
地鶏と名乗れないかというと、これがまた違う。
実は、特定JAS法の中身は
それ以前に日本食鳥協会が自主規格を決めていたものを、
そのまま踏襲したものだ。
その自主規格にのっとって地鶏と名乗れる。
名古屋コーチン、比内地鶏などは
特定JAS法の承認を受けていない。
現在地鶏と名乗れるブランドは全国で46種類ある。
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