第44回
パリのワインバー
タイユヴァンの翌日は
オペラ座近くのプチシャン通りにある、
ウィリーズワインバーという店で夕食をとった。
ここは、結構こだわったワインの品揃えをしている。
サンテミリオンのプルミエグランクリュである、
シャトーベレールの96年を勧められ、これを頼む。
ボルドーはあまり飲まないので詳しくない。
ボルドーファンには申し訳ないが、
ブルゴーニュの繊細で、微妙な味わい、香りに比べて、
どうしても大雑把な感じがしてしまうことと、
ロバートパーカーの影響か
渋みをわざとつけたようなワインが多いからだ。
このワインは骨格がしっかりしていて、
ボルドーにありがちなタンニンの嫌味な味も少なく、
ボルドーを見直す夜だった。
料理はプリフィクスになっていて、
32ユーロと48ユーロの選択した料理によって価格が違ってくる。
前菜を温野菜にして、メインを小鴨の煮込みにしたら、
高いほうの価格となった。
前菜は、野菜それぞれの旨さを巧妙に組み合わせたもので、
この店の実力がよくわかった。
メインも鴨の旨みがよく表現されていた。
この程度の値段では秀逸な店だ。
パリにはレストランはとても多いが、
気楽に入れて、かつ、料理の質が高い店は少ないので、
ウィリーズワインバーは貴重な存在だ。
翌日は日帰りでリヨンを訪問することが急遽決まった。
夜はシャルルドゴール空港から帰国しないとならないので、
美味しいものの体験勝負はランチしかない。
そこで、朝早めのTGVに乗って
リヨンの街中のレストランに行くことに思いをめぐらせていた。
当日になって、パリの駅でTGVの切符を買うのに、
なんと30分もかかった。
並んでいる人数は東京駅などとそうはかわらず、
これなら、日本では10分で買えるのが、その3倍もかかる。
フランスならではののんびりさに、
結局ランチはTGVのなかの車内食となってしまった。
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