第36回
デザートとデザートワイン
日本人はデザートを食べながら
デザートワインを飲む人はまだ少ない。
和食には最後の甘みに合わせる甘い酒もあまり見当たらない。
これは、食事を完結させるための、
最後の悦びをみすみす逃しているようなものだ。
甘いワインは世界中で生産されている。
ボルドーのソーテルヌなどは有名だが、
知名度が低いものでも秀逸な甘いワインはいくらでもある。
イタリーはシシリア産を初めとして、
各地でほどよい甘さのワインを造っているが、
赤、白とも結構微発泡のものが多く、
口のなかではねる甘みが心地よい。
アイスワインはドイツが有名だが
最近は冷蔵設備を使うところが多い。
カナダのナイアガラオンザレイクという町で造られるアイスワインは
昔ながらの自然のなかで葡萄を凍らせて造っていて、
綺麗な甘みが特徴だ。
南アフリカではクライネ・コンスタンシアという
とてもいいデザートワインがあるし、
ハンガリーのトカイワインも熟成ものは垂涎だ。
酒精強化ワインのポルトはデザートワインの王様と言えるし、
シェリーもペドロヒメネスという葡萄で作った、
どろっとした黒い色をした甘いワインは病みつきになる。。
日本ではデザート用の甘い酒は少ないが、
三河味醂でだしている「三州柳かげ」は飲料用の熟成した味醂で、
そのまま飲んでも旨く、燗しても美味しい。
また、秋鹿酒造でNo.77という多酸酵母で醸した熟成酒は
甘酸っぱさが心地よく、イチゴにもよく合う。
このような甘い酒を甘いデザートに合わせると
口のなかが余計甘くなると考える人が多いが、それは逆で、
甘みと甘みが打ち消しあい、
すっきりとした旨みが浮かびあがってくる。
デザートが口に残っている間に
デザートワインも口のなかに流し込むのが、合わせるこつ。
デザートの味が一段と引き締まる。
これこそ、超舌至腹の悦びと言える。
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