“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第13回
天然鮎の食べ比べという贅沢

日本人は鮎好きが多い。
鮎の美味しさは、内臓の部分に代表される独特の香りと旨みだ。
また、夏の僅かな期間しか天然鮎は食べられないことも
季節感を大切にする日本人にぴったりの食材だ。
鮎は川底の水草である藻、苔を食べて成長していく。
鮎の内臓に多く含まれる独特の香りは食べた藻、苔の香りだ。
それ故鮎は生息する川ごとに味が違う。
年によっても違う。
川で成長するごとに旨みが増してくる。

そんなことから、
日本各地の川の天然鮎の食べ比べを4年前から始めた。
最初の年は物珍しさも手伝って、40名を越えるメンバーが集った。
場所は当時東長崎駅のすぐ近くにあった坐唯杏という地酒割烹店。
いまでは、この店は池袋の豊島公会堂の裏に移転し、
色々なグルメ雑誌に紹介されて繁盛しているが、
当時はほとんどマスコミにも知られない隠れ家であった。
で、そのときの鮎は、郡上八幡、四万十川、高津川、
鬼怒川、揖保川と天然鮎で名高い川のものを取り寄せた。
それに比較のための養殖鮎も加えて、総計6種類の利き鮎をした。

私の呼びかけにも大半の人間は、
どうせ鮎なんて皆同じだろう、
まあ、美味しいお酒も飲めるから行ってみよう、
という軽い気持ちで集まったようだった。
これが、鮎が次々と焼かれて提供されると
一同の顔つきが、驚きから賞賛へと変わっていった。
川が違えば、姿、形が違うのはもちろん、
味わい、香りがはっきり違う。
これらのなかで、特に人気が高かったのは
四万十川、郡上八幡、高津川であったが、
他の鮎も甲乙つけがたかった。
養殖は論外で味も香りも不十分。天然の鮎とは比べようもない。
塩焼きでダイレクトに香味を楽しむのが一番美味しい。
このときの鮎の味の違の面白さは、
その後のこのイベントを継続させている。


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