第64回
精気神と六腑

中医学では五臓を
生命活動の中心と認識しています。
即ち、五臓は精気神の産生、
運化、作用をする生命の機能システムなのです。
ですから養生も五臓を中心として
意(精神・心理・情緒)から始め、
いろいろな生命活動を整えます。

精気神については、
中医学では先天のものよりも
後天のものを重視しています。
つまり先天の精気神がちょっと弱くても、
生まれてから後天の精気神を充分に取れれば、
体の健康も創れると考えているのです。
ですから、五臓の調整以外にも
六腑を整えることは
健康にとって大切なことです。

中医学における六腑とは、
大腸・小腸・胆・胃・膀胱・三焦からなる
六つの腑をいいます。
前にも述べたように、
六腑の働きは飲食物を運搬し、
消化吸収により精と濁(生命活動にとって不要なもの)を
選別することです。

胃は、脾と同じように働きます。
飲食物を受け入れてから消化作用を行います。
ですから、胃は「倉稟の官」とも呼ばれるし
「水穀の海」とも呼ばれます。

小腸は、「受盛の官」という機能位置にあります。
小腸は胃で消化された飲食物を受理し、
その中から不要なもの(濁物)を選別します。
そして濁物の中の水液を膀胱へ、
固形物を大腸へと送ります。

大腸は「伝導の官」と呼ばれます。
その働きは小腸から
選別して送られてきた固形物を受けとって
体外へ排出します。

膀胱は、「州都の官」という位置につけています。
その働きは小腸から送られてきた
体の余分な水液を溜めて体外へ排出します。

三焦は、中医学における特有な腑であり、
上焦・中焦・下焦という
三つに分けた体の区域に対する
簡略な名称であります。
その主な働きは、
一つは体内水液を通って水液代謝を司ります。
もう一つは元気を通って全身へ流れます。

胆は、胆汁を貯蔵、
排出して消化を促進する働きを持っています。

これら六腑がその機能を発揮するには
独立して働くのではなく、
五臓と互いに協力して働くことです。
次回は臓と腑の協力関係について
お話をしようと思います。


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