第62回
精気神と肺
精気神と五臓についての話を続けます。
今回は「肺」に関わる内容をお話しようと思います。
肺というシステムは、
主に呼吸運動で気を司ります。
その内容を説明すると、
まず、自然界の清気を吸入し、
脾が吸収した飲食物の精気と合わせて
生命活動の原動力――元気を補充し、
様々な生理活動をよく協調させます。
つぎに、体内におけるすべての気のめぐりを司ります。
中医学の専門用語では
気のめぐりを「気機」といい、
昇・降・出・入という四つの運動方法によって
気のめぐりを示します。
体内の気にはその機能ごとに名前がついています。
例えば、親からもらった元気は
生命を始動と発育する原動力として働きます。
全身に栄養を補給する営気は
血と一緒に流れます。
衛気は体外の邪気から体を防衛するために働き、
皮膚の下を流れます。
その他にも体内のシステムごとの名前をつけて
呼ばれることもあります。
例えば五臓六腑の気には、
「心気」「肝気」「脾気」「肺気」
「腎気」「胃気」「胆気」などがあります。
また、「経気」とは経脈の中を流れている気のことです。
これらの気はシステムが動くための動力となります。
肺は、吐いたり吸ったりする呼吸運動によって
気を体内で上昇させたり下降させたり、
臓腑器官に入ったり出たり、
体外内の気(体の気と自然界の気)を交換したりします。
充足した良好な気を
生命活動へ提供するために働きます。
特に心の血行をコントロールする機能と神を司る機能は、
肺の気を司る作用の発揮に支えられています。
この関係を例えれば、
君主の指令を実現できるのは
宰相の相補と伝達があるからといえます。
だからこそ、肺を五臓の「相傳の官」の位置につけているのです。
肺は脾・腎・三焦・膀胱などの臓腑とともに
全身の水液代謝を調整します。
「肺が水行を司る」「肺が汗を司る」などの機能も
中医学理論の中にあります。
養生内容の一つとして気を養うことは大事です。
従って肺の機能を調整することは
当然大切であると思っています。
ですから、中国の伝統健康法は
呼吸を整えることを基本内容としているのです。
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