| 第84回「天安中国」(0028)について
 去年11月のベトナム投資考察団に参加され、現在サンフランシスコに在住されている
 広瀬隆雄さんから
 「天安中国」について
 下記のようなメールをいただきました。
 情報をキャッチされ、
 非常に分かり易くコメントしていただきましたので
 ご紹介させていただきます。
 【大株主の同社株売却】 さて、天安中国の一件ですが、このところ同社株を巡る動きが激しくなっていますね。
 19日には7.2億株のクロスが入って、
 一体、どうした事か?
 と色めき立ったのですが、
 取引所に対する同社からの説明では
 第二位株主のチャイナ・オンライン(バミューダ)社が
 持ち株をHK$0.30にて売却したのだそうです。
 折から天安中国社は
 リキャピタライゼーションの真っ最中ですので、
 なにかと誤解、思惑を招きやすいタイミングだったように思います。
 【リキャピタライゼーション】 そのリキャピタライゼーションですが16日の株主総会で
 その提案が無事株主の承認を得たようです。
 発行済み株式数を10分の1に減らし、
 株価を10倍にする理由は
 個人株主が本券を引き出す際、
 ハンドリング・フィーが割高につくなどの
 不都合を是正するのが目的だそうです。
 一方、減資し、
 額面をこれまでのHK$2からHK$0.2に下げる理由は、
 場で付いている株価より
 パー・ヴァリューを確実に下に押さえることにより
 「額面割れ」の状況を招来しないようにする目的があります。
 なぜ「額面割れ」ではいけないのかというと、
 その場合、香港市場のルールで増資をすることが大変困難になる
 (無理すれば出来なくはないらしい)からです。
 さて、資本金はどうなっちゃうのということですが、
 「特別資本準備金勘定」というのを設けて、
 そこに戻入するらしいです。
 つまり、天安中国の株を買った人が
 90%のダイリューションを被ると考えるのは間違いです。
 【3月10日からの取引】 さて、それでは3月10日からの立会いはどうなるかという事ですが、
 株価は10倍、旧券をもっている人は
 持ち株数が10分の1になるという事です。
 ただ、同社株の売買単位は現行どおり
 1000株単位という事ですから、
 これまで最低金額HK$300で取引出来ていたのが
 HK$3000になるというのが違いといえば違いでしょう。
 この際、旧券の株数が
 10分の1になることから発生する「端株」については
 ちゃんと窓口が設定されて取り扱ってくれるらしいです。
 でもこれから同社株を買う人は
 一応1万株を単位として買っておくと
 後で面倒がないように思います。
 【自社株買戻し】 先述の大口クロス(発行済み株式数の9.3%に相当)とたまたま同時期に発行済み株式数の
 10%を上限とする自社株買戻しが承認されました。
 なんだか笑っちゃうタイミングですが、
 一体、買い手は誰だったんですかネ。
 一応、プロクシーでは
 「自社株買いはワーキング・キャピタル若しくは
 キャッシュ・フローから払える額に限りこれを行う」
 と書いてありますが、
 売り物を会社側が呑んじゃったなんて事は
 無いとは思いますが、、、。
 【トップ人事】 また、これらのアナウンスメントに相前後してトップ人事の変更も発表されています。
 私など誰がどういう人なのかサッパリわからないので、
 名前を見てもピンと来ないのですが深堀さんはご存知ですか?。
 【伏臥期から飛躍期へ?】 とまあいろいろ忙しい会社ですけど総合して憶測するに
 天安中国は「バブル期の傷を舐める伏臥期」からようやく脱し、
 業容の拡張を視野に入れた準備に入った
 という解釈をするのが妥当ではないでしょうか。
 深堀さんが書かれていたように
 今回の一連の措置は
 公募増資をしやすくする意図があると思います。
 (株価が20セントでは公募の際に多くの機関投資家は
 内規で買えない筈。)
 一方、チャイナ・オンライン社はどうみても
 「引かれ腰の弱い投資家」で安定株主という風体ではありません。
 今回のクロスで「潜在売り圧力」を除去できて
 良かったと解するべきでしょう。
 今後も面白い記事を期待しています。
 以上、ご紹介させていただきました。英語を使われていますので、老婆心ながら解説します。
 リキャピタライゼーションとは資本再編のことです。
 ※ 深堀マネージャーの都合によりまして連載を中止させていただきます。長い間ご愛読ありがとうございました。
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