第481回
H株指数の推移、2005年までの軌跡をたどる
2002年以降のH株指数をみてみると、
あまり値動きしなかった2002年、
急成長した2003年、
激しい調整を経験した2004年、
徐々に盛り返し、
03−04年の最高値水準を越えたり、
それから反落しても
また戻してきている2005年、
という特徴が見出せます。
−H株指数の推移(2002年−2005年、日足終値)−
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単純な値動きをみていても
ぴんと来ないですし、
各年どういうことが行ったのかを
振り返りましょう。
●2002年の主な出来事
(同年の中国情報局10大事件ニュースを基に作成)
1.中国共産党
第16回全国代表大会(十六大)が開催(11月)
江沢民体制から胡錦涛体制へ
2.日中国交正常化30周年
3.前年の五輪開催決定に続いて
2010年上海万博開催決定(12月)
4.通信・航空・電力業界再編の嵐
5.01年の活況から一転、低迷する株式市場に救済の動き
6.トヨタや日産が相次いで合弁、
ホンダも活発、日系自動車メーカー続々進出
7.ユーロアジアアグリ問題勃発、
民間企業株(P株)のクローズアップ
8.携帯電話の爆発的普及、加入件数2億件に
9.中国家電メーカー躍進、ハイアールやハイセンス、
TCLなど脚光浴びる
10.「西気東輸」正式始動 西部大開発が加速
2002年はやはり
中国共産党の新体制発足を抜きには語れません。
株式市場としては、B株国内開放に伴う
B株ブームが起きた2001年を経て、
01年後半から顕在化した
中国株式市場及び上場企業の問題が
本格的にクローズアップされました。
これが05年になって、
株式構造改革という形で結実していくわけ。
●2003年の主な出来事
(同年の中国情報局10大事件ニュースを基に作成)
1.新型肺炎SARS大流行、恐怖に包まれる
2.人民元切り上げ圧力高まる、米中貿易摩擦
3.有人宇宙飛行の成功、宇宙開発大国へ
4.チチハル毒ガス、広東買春、陝西西北大学など、
揺れる日中関係
5.上海リニア開通:
高速鉄道、日本の新幹線の中国導入が話題に
6.「公民投票法」、台湾問題に新展開
7.新体制、実質始動。省庁新設など行革進む
8.不動産バブル懸念高まる、電力不足が顕在化
9.CEPA、大中華経済圏への始動
10,頻発する地震、洪水など自然災害
2003年は初頭より新型肺炎SARSがまん延、
一時極度の混乱状態になりました。
それを克服した同年後半以降、
H株が急上昇していることは、
その反動もあったでしょうが、
大きかったのは02年に発足した新体制が
実質的に稼動したことでしょう。
特に実務家の温家宝首相を中心とした
首脳部を中心に行革が進んだことは
特筆すべきであり、
その期待感が市場を支配したことも
大きかったといえるでしょう。
●2004年の主な出来事
(同年の中国情報局10大事件ニュースを基に作成)
1.経済過熱に政府マクロコントロール強化
2.長期化する深刻な電力不足
3.自動車業界、魔の5月から復活ならず長期低迷へ
4.鳥インフルエンザ勃発も、SARSの教訓生きる
5.三農政策本格化、貧富の差解消目指して
6.日中の「政冷経熱」、「政冷経涼」へ移行の懸念も
7.人民元切り上げ圧力さらに高まる、9年ぶり金利引き上げ
8.サッカーアジアカップ、後味悪い日中決勝戦
9.携帯加入件数さらに伸びて3億件突破、
オンラインゲームが人気に
10.聯想、IBMパソコン部門を買収
2004年は株式市場としては、
前年の急成長を経た後の
大調整の段階といえるかもしれません。
それと歩調を合わせる形で、
マクロ経済でも
調整や引き締めが進められました。
聯想(レノボ)のIBM買収は、
この年の12月に発表されましたが、
世界的に中国企業の躍進を印象付けるに
十分なインパクトのある事件となりました。
さて、2005年はどうなったでしょうか?
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