第426回
外貨準備高世界一の時代に突入、その対応が課題に
日本の財務省が先週、
2005年6月末の時点で
香港を合わせた中国の外貨準備高が
日本を抜いて世界一になっていたことを発表しました。
いわゆる外貨準備高とは、
一国の通貨当局が保有する外貨建て資産のことで、
国際収支が赤字に陥ったとき
(海外からの借入金の返済や輸入代金が不足した際)の
決済に利用する準備金であることから、
国際的な信用力を表す重要な指標とされています。
中国の外貨準備高が急増しているのは、
第一に、輸出が急増していることが挙げられます。
いわゆる貿易摩擦に発展して、
繊維など一部製品では
米国や欧州などと激しい戦いになっています。
この摩擦緩和策として期待されたのが
人民元の切り上げです。
05年7月に初めて実施されたことは
記憶に新しいところです。
元の切り上げ前からそうだったのですが、
7月に行われた切り上げ率が
2%程度だったこともあって、
中国の経済的な実力や欧米との貿易関係から考えて、
今後段階的に切り上がることになるだろう
という考え方があり、
切り上げを見越した投機マネーが
中国に流入し続けているのも
外貨準備高が増える一因になっています。
中国では、香港を自国としながらも、
経済活動方面においては
独立した形態を維持しております。
諸々の事情から考えて、
中国と香港の経済指標を合算して考えるには
無理があると思いますが、
いずれにしても中国の外貨準備高は
05年末には中国本土だけでも
日本と肩を並べる水準に達し、
06年の早いうちに日本を追い越して
世界一の外貨準備保有国になるのは
間違いなさそうです。
10月15−16日の2日間、北京市郊外の香河で
第7回 20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)が
開催されますが、
その話題は当然、
人民元の再度の切り上げとなりそうです。
−中国と日本の外貨準備高の推移−
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