第210回
北京−上海の日帰り出張、航空市場の潜在力は魅力
中国国際航空(エアチャイナ、0753)が本日、上場します。
脱稿時点で、公募価格は最終的には決定されていませんが、
レンジとしては2.35香港ドルから3.10香港ドル。
前の週にH株上場を果たした
中興通訊(ZTE、0763)の公募価格が
20香港ドルを超えましたので、
それから比べれば、
株価自体は手が出やすい価格といえます。
ちなみに、中興通訊の株価が20香港ドルを超えて、
国際航空の株価がその10分の1程度、というのは、
それがそのまま中興通訊と
国際航空の優劣を示すものでないことは
いうまでもありません。
利益状況や株式数などで違ってくるのは、
日本とも共通してきますが、
中興通訊の場合は、
すでにA株を発行していますので、
その兼ね合いによって、
H株銘柄では珍しく高額になっているのであって、
必ずしも割高になっているわけではありません。
逆に国際航空も当然、
割安になっているわけではありません。
国際航空のIPO(新規株式公開)については、
大和證券などでも募集していましたので、
馴染みのある方も多いと思います。
日本と中国の間の国際線も就航していますので、
実際にご搭乗された方も、
もしかすると大勢いらっしゃるかもしれません。
中国最大手の航空会社で、業績としても、
2003年、東方航空(0670)、南方航空(1055)が
相次いで新型肺炎SARSの影響を受けて
大きな赤字を計上したのに比べて、
黒字を計上したことでも、
今後に期待できる銘柄です。
同社発表の、2004年通年の利益予測は22.90億元、
これが実現すれば、
前年に比べて十数倍の増益となり、
東方航空や南方航空に
大きく水をあけることのできる可能性もあります。
前回までに触れたように、
中国の航空業界では、事故が少なくありません。
墜落事故などが起これば、多くの犠牲者が出てしまい、
社会的にも影響が大きく、
そうした意味でも、国際航空とはいえども、
リスクは必ずしも低くはありません。
また、燃料コストとの兼ね合いから、
昨今の国際原油価格の高騰で、
最も影響を受ける業界の一つでもあります。
一方で、前回の最後で触れたように
ポテンシャルの大きさは疑う余地はありません。
私も中国に行けば、中国国内を飛行機で移動します。
列車やバスでは、北京−上海間も往路だけで
ほとんど1日かかってしまいますが、
飛行機を利用することで、
北京−上海の日帰り出張も難なく可能になります。
飛行機のチケットが高額だったため、
以前までの中国では、
飛行機は庶民にとって遠い存在でした。
現在、中国の空港は人の山です。
私のような外国人も多いのですが、
ほとんどが当然のことながら中国の方です。
一昔前なら考えられなかったことですが、
多くの中国の方にとっても、
現在において飛行機はすでに
便利な交通手段になっているのです。
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