第142回
最初の舌鋒はシノペックだった・・・「郎監管」出生
中国株の爆弾「郎監管」こと
香港中文大学教授の郎咸平氏の舌鋒が
注目されるようになったのは、
今年5月、中国の石油メージャーの一角である
中国石油化工(シノペックコーポ、0386)に対して、
「同社の再編成功は難しい」との
手厳しい批評を行なったことが
契機となっているようです。
その論の正否の判断は
読者の皆様にお任せするとして、
郎氏の中国石油化工に対する批判をみていきましょう。
郎氏は、中国石油化工のほか、
最大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ、0857)と
中国海洋石油(CNOOC、0883)という
中国石油メジャー3社の業界再編において、
すでに大きな失敗を犯していると指摘します。
当初、中国では石油業界全体を
川上、川中、川下という三段階に分けて、
石油統括部門が採掘などを中心とする川上を、
化学統括部門が化工を中心とする川中を、
卸売小売など流通面の川下を
地方政府に移管するという体制を敷いていました。
20世紀80年代に
今のメジャー3社の雛形ができて、
主に中国石油天然気が川上を、
中国石油化工が川中から川下を、
中国海洋石油が海洋石油探査採掘を
担うことになりました。
特に問題だというのが、
中国石油天然気と中国石油化工の
川中から川下における産業的な整合性です。
「中国石油天然気と中国石油化工は、
川中と川下の業界再編において、
市場の反応をうかがわず、
川中の資産を安く売りさばき、
川下の資産を高く買収し、
香港市場のそれぞれの上場企業を通じて、
親会社への資金調達ルートを確立、
株主に大きな損害を与えた」
というのが郎氏の主張です。
郎氏が問題にするのは
2002年12月に行なわれた中国石油化工の
グループ内の親会社と上場会社の関連取引です。
上場企業は評価額10.29億元の資産と200万元の現金で、
親会社の評価額10.3億元の川下のガソリンスタンドや
石油貯蔵庫の資産を買収しています。
これに対して、郎氏は、
もともと親会社が保有していた
評価額10.3億元の資産の実際価格は
4.7億元に過ぎず、
上場会社が放出した評価額10.29億元の資産は、
実際には16.22億元の価値があるもので、
この取引のよる莫大な差額は、
親会社に対して、
大きな便宜を与えることになると同時に、
結局、中小株主にその損害が
還元されてしまうことになると指摘します。
この取引発表当日の中国石油化工の株価は
3.6%安となりました。
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