|  第67回教育の難しさを痛感しています
 中国を初めて訪問した日本人のほとんどの方は、“サービスレベルがまだまだ低い”
 との印象をもたれるのではないでしょうか。
 なかでも、中国でビジネスを始めようと考えている方が
 現状を目の当たりにすると、
 徹底した教育による
 ハイレベルのサービスによる付加価値だけでも、
 充分に他社との差別化が図れるのではと思われるはずです。
 全くもってその通りです。実際、新しく当社へ赴任した日本人スタッフへ、
 一通りの研修を終えた頃に私が感想を尋ねると
 “サービスレベルがまだまだ低い、
 マニュアルが現場まで浸透していない”
 という回答が真っ先にかえってきます。
 彼らが見つけたり感じたりした改善項目は、
 少なくとも50個以上はあったのではないでしょうか。
 そのほとんどは私も普段から感じているものと同じです。
 問題はここから先です。改善点はわかっているのに思うように改善が進まないのです。
 これは中国で仕事をする日本人の
 ほぼ100%がぶち当たる壁ではないでしょうか。
 改善すべき点、修正すべき問題点がはっきり見えているのに、
 一向にその作業が進まないのです。
 時には逆行したんじゃないかと思うこともあるほどです。
 要はスタッフ教育の難度が日本に比べ、
 非常に高いのです。
 なかなか思い通りにいかずイライラし、
 スタッフを怒鳴り散らす事が増え、
 結果としてスタッフとの溝が深まり、
 サービスレベルが更に低下することなんて日常茶飯事です。
 なぜこうなってしまうのか。わかりますか?
 それは彼らが質の良いサービスを“知らない”からです。
 他の言い方をすれば“経験がない”からとも言えます。
 生まれてから、
 一度もイタリア料理を食べたことがない
 若手のシェフを一人前に育てあげるのは、
 その味を知っている人に指導するより
 何倍も何十倍も大変なのです。
 サービスも同じです。
 なぜ“いらっしゃいませ!”
 と言わせるのがこんなに大変なのか。
 それは、中国の地方から出てきた彼らが人生で、そのようなサービスを受けた経験がなく、
 サービスの何たるかを知らないからだと私は思うのです。
 決して彼らの能力が低いからではないのです。
 このことをしっかりと認識しておかないと
 本当の改善は出来ないと、
 いつも肝に命じています。
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