第58回
人材の確保が成功の要
5月に邱先生が北京にいらっしゃった時、
「荒木君ね、これからは人の確保で
本当に苦労すると思いますよ」と言われました。
邱先生が苦労すると言われた本質を理解するまでは、
まだしばらくの時間が必要なのかもしれない
と思っていたのですが、
先月、人材のことで早速頭を痛めることになりました。
パン・ケーキ工場の古株のスタッフも含め、
多くのスタッフが会社を辞めたい
と辞表をもってくる騒ぎになったのです。
騒ぎの発端は工場の移転でした。
業務の拡大に伴い、思い切って工場を移転することになり、
北京首都空港近くの工業区に
敷地面積4,000uの工場を借りました。
当然、今までの環境とは大きく変わってしまうため、
色々な問題が発生することは覚悟していましたが、
この工業区の中には大手の食品メーカーも多くあることから、
工場を建設すること自体はあまり心配していませんでした。
しかし、これほど多くのスタッフが
工場移転に伴って辞めたいと言ってくるとは考えておらず、
本当に困ってしまいました。
しかも辞めたい理由は給与ではなく、
工場のある場所が市内中心部から約50分と
移動に不便が生じることと、
やはり20代の若者の気持ちとしては、
刺激の多い都市部での生活を捨てきれないことにありました。
スタッフの多くが、地方から出てきたということもあり、
私もこの若者の心理の変化を完全に見過ごしていました。
辞めたいというスタッフといくら話し合っても
埒があかない事は、もはや明白な状況でした。
結果、バタバタになってしまいましたが、
以前から邱先生が研修生制度で関係を築かれてきた
銀川市の職業専門学校の卒業生に
北京の新工場まで来てもらうことになりました。
運が良かったのが、学生の新学期シーズンだったことです。
来年の卒業までの期間、
研修生として北京に来てもらうことができました。
いつもこんな風に上手くいくとは限りません。
今回も、もし銀川の学校が無かったら
どうなっていたかわかりません。
人材の確保が企業の命運を握る事になると言う意味を、
強く感じた一件です。
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